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頼まれごと2

「とにかく、王家に嫁ぐ気はありませんから。今日はいつものところへ行ってまいりますわ」


おろおろしている二人を横目に、朝食の席を立つと、休む間もなく出掛ける準備を始めた。


領地から馬車を走らせ1時間ほどすると、行商人や町の人々でにぎわう城下町が見えてくる。大きな時計台のある広場を抜けると、町の喧騒から離れ、少し奥まったところにある古い教会にたどり着いた。ソフィーは数年前からこのセントラノ教会へ毎月訪れていた。


「レミさーん!今日はいい天気ですね!」

「あら、フィーちゃん!早かったのね」


ふくよかな体型で、いつも明るく笑顔を絶やさないレミさん。彼女はこの教会のベテランシスターだ。唯一ソフィーが貴族ということを知っていて、小さい頃からお世話になっている。


貴族だとバレると何かとやりづらいので、ソフィーは毎回町娘のような軽い装いで遊びに来ることにしていた。


「今朝とれたお野菜をたくさん持ってきたわ!それとクッキーも焼いてきたのよ!」

「いつにもまして沢山あるわね~!ありがとう、みんなも喜ぶわ」


広大なカンデス領を活かして野菜作りを始めたのは、ほかでもないソフィーのアイディアだった。3年前意識を取り戻した時に始めたことの一つだ。


「あっフィーだ!」

「ほんとだ!フィー!」

「「「フィー!」」」


持ってきた野菜をレミさんと保管庫に運び終わった頃、早速こども達に見つかった。


ここでは身寄りのないこども達を預かり育てている。まだ言葉も話せない赤ちゃんから、上は13歳まで。約20人ものこども達がこの教会で一緒に生活をしている。


「何しにきたの~?」

「なんかいい匂いする~」

「今日はクッキーを焼いてきたから、みんな順番にもらってね」


「わーい!」」

「何これおいしい!」

「あっ落としちゃったあ…」

「これもーらい」

「あーーーカイ兄がとったーー!」


「よしよし、泣かないの。それから物は落とさないようにね?あっ、こら!ひとり一袋よ!!」


こども達がソフィーのところにワッと集まり、沢山焼いてきたはずのクッキーはあっという間になくなってしまった。


初めてやってきた日は、幼いころから身に付いた礼儀作法が抜けず、こども達にもなかなか馴染めなかったソフィーだが、今では砕けた口調でこども達の面倒を見ている。


「ふふ。みんな元気そうね。次回はもっと沢山焼いてこなくちゃ!」


「いつも悪いわね~。そういえば、今日のミサにスペシャルゲストが来るのよ」

「スペシャルゲスト?」

「まあそれは来てからのお・た・の・し・み!」

「えー誰かしら?」

「さっそろそろ準備する時間ね」


まだ着いたばかりなのに。と文句を言う暇もなく、教会の外で開かれるバザーの炊き出しの準備に取り掛かることにした。

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