アリスとスローライフ!
なんてあの子は自由なんだろう!
パイを食べたかと思えばトランプを散らかして、花を千切って動物たちを追いかけ回す。彼女はそんな子だ。
首を切ってやろう!と息を巻く私をよそに彼女はひょいひょいとかわしていく。なんて憎たらしい子なんだろう!
「女王様! 遊ぼうよ、ほら、次は何をしよっか?」
それでも私はこの子に振り回され続けてる。
なんて情けないんだろう。
でも、だって、仕方ないのだ。
だって私は彼女のものなんだから。
「ああ、そろそろ帰らなくちゃ。お姉ちゃんも心配するし」
どくん。心臓が跳ねる。彼女が帰ってしまう。
もう少しここにいたらいいのに。また来てくれるだろうか。行かないでほしい。行かないで。行かないで。ずっとここにいて。
「ええ、いってらっしゃいアリス。また待っていてあげましょう」
自分の本音の1つも言えないまま、彼女を見送った。
だって私は彼女のものなのだから。
この世界の全てが彼女のものなのだから。