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過剰回復の竜少女〜回復は最強の攻撃です〜  作者: 羽狛弓弦
第一章:スピカと師匠と不浄の化け物編
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6 スピカの日常 その2

 仕事がひと段落したスピカは休憩がてらに屋敷の別館のとある一室に向かう。


「みんな元気?」

「「「ねー!」」」

「「「ねーねー!!」」」

「「「おねえたま!!」」」


 そこは、別館で一番広い一室。

 そこには、下は0歳から上は9歳の子供たちがいた。

 彼らはスピカが部屋に入ってくると同時に我先にスピカの元に駆け出した。


「みんないい子にしてた?」

「「「はぁーーーい」」」

「そっか、えらいえらい」


 スピカは子供たちの頭を撫でる。

 子供たちはスピカに撫でられて嬉しそうだ。


 子供たちは全員、スピカの異母兄弟だ。

 耳が長い子もいれば、ケモミミと尻尾の子もいる。

 スピカを含めて子供たちは全員ある男を父として生まれてきた。

 この部屋にいるだけでも数十人いる。

 今は別の場所にいる兄弟も含めればもう少し多い。

 それほどにスピカの兄弟は多い。


「おねえたま、ご本読んで!!」

「あ、ずるい! 僕と遊んで!!」

「やーー!! わたしと遊ぶの!!」

「びぇぇーーーーー!!!」


 などなど、兄弟達は目をキラキラさせながらスピカに構ってとせがむ。

 急にうるさくなったのかスヤスヤと寝ていた赤ちゃんは目を覚まして泣き出した。


「あはは、ごめんねまだお仕事が残っているんだ」

「「「えーー!!」」」

「「「遊んでよーー!!」」」


 スピカは兄弟達に文句を言われながらも泣き出した赤ちゃんの元に向かい抱っこする。


「よしよし、泣き止んで」

「ひっく、ひっく、ひっく、うぅ? わきゃあああ。あぅわぁ」


 スピカに抱っこされた赤ちゃんは急にご機嫌になった。


「みんなで仲良くしていたら今度遊んであげるよ。だからごめんね。代わりに今日は短いけどおとぎ話を話してあげる」

「ほんとぉ?」

「やったーー!!」


 子供達はスピカが構ってくれてご機嫌だ。


「今から話すからみんな静かにするんだよ」

「「「はぁーーい」」」

「昔、昔。7体の大いなる竜によってこの世界は繁栄を保っていました。人々は竜の元で平和に暮らしていました。そんなある時、邪神が生まれ落ちました。その邪神は世界を憎み、大いなる竜を憎み、人々を憎み、自分さえ憎みました。そして、邪神は暴れ周り、大いなる竜を食べてしまいました。それでも邪悪な竜は止まらず大いなる竜も人々も関係なく食べてしまいます。残った大いなる竜と人々は邪神を倒さんと立ち上がりました。戦いは苛烈を極めました。大いなる竜はただ一体を残して邪神に食われ、共に戦った勇者達も食われてしまいました。しかし、勇者の一人、精霊を宿した勇者は大いなる竜と協力し、その身を犠牲にして邪神を7つに分けて封印しました。こうして大いなる竜と勇者達の手によって再び平和が訪れたのでした。終わり」


 話し終えると同時に沸き起こる拍手の嵐。

 頼りない音を奏でる拍手は子供らしくとても可愛らしかった。


 スピカが話したのは子供達に聞かせる定番的なおとぎ話。

 特に、竜王国と呼ばれる国でよく話されるおとぎ話だ。


「ねぇねぇ、大いなる竜ってどんなの?」

「勇者ってかっこいいね!!」

「僕、精霊見てみたい!!」


 などと子供達は口々に感想を述べる。


「はいはい、みんな、今日はお終い。私はお仕事に行くからみんなで良い子にしているんだよ」

「「「はぁーい」」」


 と元気よく子供達は返事をする。

 子供達はスピカの言うことをよく聞く良い子達だ。


「それじゃあ、みんな仲良くしているんだよ」

「はぁーい」


 子供部屋を出て行ったスピカは執務室に戻る。


「お待たせアントン。次は視察だっけ」

「ええ。準備は出来ております」

「じゃあ、行こうか」


 執務室を出ようとすると、少年が突然執務室に入ってきた。


「話は聞かせてもらいました!! 僕も連れて行ってください姉上!!」


 バーン!! と現れてスピカに要求する少年はスピカの弟で時期当主のシリウスだ。

 今年で10歳である。


「はあ、シリウス、ノックね」

「あっ、ごめんなさい姉上」


 スピカはとりあえずノックをしなかった事を注意する。

 シリウスは姉の贔屓目抜きにしても優秀だと思うが、少しそそっかしくドジなのだ。

 慌てるとノックを忘れるくらいには。


「勉強は終わったの?」

「もちろんです姉上」

「そう。だったら一緒に行こうか。少し待っててあげるから早く準備をして来て。行き先は近隣の村だから」

「わかりました姉上!!」


 シリウスはビシッと返事するとダーっと執務室から出て行った。


「さて、私も着替えてこよっと」


 スピカとシリウスはアントンを含め、護衛などの数名の者と共に馬に乗って村に向った。

 

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本作品の改訂版です。

大いなる癒しの竜少女~アンデッドの弱点は回復魔法です~

竜と精霊の回復ファンタジーです。

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