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過剰回復の竜少女〜回復は最強の攻撃です〜  作者: 羽狛弓弦
第二章:スピカとメーティスの学府潜入編
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18 悪役令嬢系少女ミラ

「ふぅー。見つからないね」

《そうね》


 学府に編入してから数週間。

 黒い宝玉の気配を探し周ったが未だに見つかっていない。

 どうにかもっと効率が良く確実に見つけ出せる方法はないかと考えるが、そう都合良く思いつかない。

 やれやれと首を振りながらスピカは椅子に座って本を開く。


 学府の生徒にはある特典がある。

 それは、隣にある図書館を無料で利用でき、さらに本を借りる事もできるのだ。

 これにはスピカは大いに喜んだ。

 最近では、黒い宝玉探しと並行して休み時間に人の少ない中庭にある椅子に座って本を読んでいるのだ。


 しかし、そんなスピカの時間を邪魔する者が現れた。


「ああ、スピカ、こんな所にいたんだね。探したよ」


 そんな甘ったるい声を聞いたスピカは内心舌打ちする。


「……」


 本を読みながら相手をするのは失礼なので、スピカは仕方なく本を閉じで相手を見上げる。

 彼の名前はレオナルド・レイフォールド。

 どこかの公爵家の長男で、学府一のイケメンらしい。

 スピカはそんな事知ったこっちゃないし、どうでもよかった。

 しかし、現学府の生徒の中で一番身分が高いため、失礼過ぎる態度は取れないのであった。


 彼との出会いは、学府に編入してからではなく、その前。

 学府祭の時であった。

 スピカが初めて学府祭に行った日。

 あの時ぶつかった男がレオナルドなのであった。

 スピカはあの時急いでいたので誰かにぶつかったな程度にしか覚えていないが、レオナルドは違った。

 さらされた白い髪、透き通るような肌。

 儚げなその容貌を見たレオナルドは一瞬にしてスピカに心を奪われた。

 そして、この学府で再会したのである。


 こうしてフラグを回収してしまったスピカであったが、はっきり言ってレオナルドの事は邪魔と思っている。

 本当に邪魔でウザいのだ。


「スピカ、どうか僕の話を聞いてくれるかい?」


 などと言いながら勝手にスピカの隣に座り、勝手に話し始める。

 だいたいがスピカに囁く甘い言葉であるが、レオナルドに微塵も興味のないどころか、とある理由でかなり嫌いなスピカにそれを聞かせ続けるのはある種の拷問であった。

 今のスピカの目は死んでいるのであった。


《メーティスぅ。ウザいよぅ。気持ち悪いよぉ。助けて》

《……無理ね》

《だよねぇ》


 スピカは心の中でメーティスに泣き言を言うが、メーティスだってレオナルドのウザい話を聞いているのだ。

 本人じゃないだけマシではあるが、やはりウザいし気持ち悪い。

 まさに一心同体であった。


 長々と一人語りを終えたレオナルドは満足したのかその場から去っていった。

 それまでスピカは一言も喋っていない。


「はぁ。次から別の場所で読もうかな」


 そうして、読書を再開しようとした時、


「スピカ・スターティア!!」


 別の存在がスピカの元にやって来た。


「わたくしの婚約者であるレオナルド様につきまとうなんてどういうつもりなの!!」


 その存在は後方に取り巻きを引き連れて目尻を上げてスピカを威嚇する。


 彼女の名前はミラ・エルカイトス

 こちらのお家は候爵家で、先ほど本人が言ったとおりレオナルドの婚約者である。

 彼女の事は初めて見た時から覚えている。


(なんだこのおっぱいは!?)


 それがスピカがミラを初めて見た時の感想であった。

 スピカと同い年であるはずのミラであるが、その胸部の戦闘力はスピカとは比較にならないのであった。

 何を食べたらこの歳でこんなに育つのか。

 年相応の胸部しか持たないスピカはそんなミラに驚愕するのであった。


 そして、当のミラはレオナルドがスピカにご執心という噂を聞きつけ、憤慨してスピカの所にいっているのである。


「どういうつもりも何もあの人が勝手にこちらに来るのですが」

「なっ!?」


 ミラの胸部装甲が前よりさらに大きくなっている事に気がついてしまったスピカはうっかりそう言ってしまった。


「ふっ……ふふふふ。そうですか。いいでしょう!! 必ずやレオナルド様を取り返してみせますわ。どんな手を使ってでも!!」


 ミラはスピカにそう宣言すると、行きますわよと見事な金の巻き毛を払いながら言って去っていった。


「……後ろの子達何しに来たんだろう?」

《あんた、気にするところズレているわね》


 ズレた事を言っているスピカにメーティスがつっこみをいれると、


「あ、鐘の音。私の時間が」


 休み時間が終わってしまったのであった。




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本作品の改訂版です。

大いなる癒しの竜少女~アンデッドの弱点は回復魔法です~

竜と精霊の回復ファンタジーです。

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