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糖度100パーセント  作者: リクルート
8/70

弁当争奪戦

昼休み、両手に花。

 午前の授業が終わって、昼休みになった。すると、教室の外から二人が手を振っていた。来織(こおり)織姫(おりひめ)だ。俺はさっそく彼女らの下へと移動した。


 昼食を取る場所為に来た場所は学校の庭、その中のに影になるベンチに陣取った。今日も弁当を作ってきてくれているらしく、その包みを俺に渡してくれた。中からはいい香りが漂っていた。

「あの、わたくしも、その、お弁当を作ってきたのですが、受け取ってもらえますか」

 その手には桃色の布にくるまれた弁当があった。

 二つも食べるのは無理かもしれない。なら、来織のを食べるしかない。

「あっきー、織姫の食べなよ。私のはあとで食べるよ」彼女は笑顔だった。

 特に無理しているようには感じない。多分、本気で言っているのだ。これで織姫の弁当を食べなかったら、来織は怒るだろう。それにそういわれるなら、織姫の気分を悪くさせなくて済むだろう。

 あ、いいこと思いついた。

「なぁ、みんなで食べないか。それなら残ることはなくなると思うんだけど」

「おお、いいね! そうしよう!」

「さすが、あきくんです!」

 満場一致でそうなったのでそれぞれ弁当を広げえていた。


 一見、平和に見えていたこの作戦だが、少し欠陥があった。それは俺がどっちの弁当も食べないと彼女らは食べ始めないということだ。いや、だったらお前が早く食べればいい話じゃないかということなのだが、二人の視線が俺に向いていて、さらにどちらを先に食べるのか見守っているようでもある。なんというか、食べずら過ぎる。気にしていても仕方ないので、来織の弁当に手を付けた。

 うまい。昨日も思ったが、やはり彼女の弁当はうまかった。


 続いて、織姫の弁当に手を付けた。漫画とかではお嬢様はそんなに料理がうまいわけではない気がする。そう思いながら彼女の料理を口に入れた。

 うまい。よくうまく説明できないが、来織とは違ったうまさがあった。まぁ、違う料理だからかもしれないが。

「あの、どうでしょうか。お料理はあまりしないものですから、お口に合いますでしょうか」

 心配そうに俺の顔を見つめている。

「ああ、うまいな。俺は料理とかわからないからうまく言えないけど」

 彼女はそうですかと言って顔を綻ばせた。俺は幸せ者だなと思ってしまった。


 それからは平和に弁当を食べ終えて、教室に戻るでもなく、昼休みを過ごしている。

「そういえばさ、朝、あっきー、手紙貰ったんだって? 女の子から」

 なんで知っているのか。もしかして噂になってたりするのだろうか

「わたくしもその話は聞きました。どうしたんですか?」

 俺は朝のことを話した。


「そっかー。その星流(ほしながれ)って人もあっきーの事好きなのかぁ」

「やはり、格好いいのですよ。あきくん」

 織姫は赤くなっているだけだったが、来織は何やら考え込んで、難しい顔をしていた。なんだか嫌な予感がするのは気のせいか。いや、気のせいではない。反語だ。


「あっきー、その人も仲間に入れよう!」

 急に立ち上がったかと思ったら、彼女はそんなことを言い出した。

 俺は来織だけが彼女なのになぜか回りに女子が増えていく。それは不誠実なことなんだと思う。

「あっきー、私はあっきーのこと好きな人はみんな仲間にしたいんだ。みんなを幸せにはできないけど、少なくともあっきーのこと好きならその人たちは私と同じ幸せを分けたいの」

 そんなこと言ってもこの国で、それは不誠実で非常識なことにされている。

 俺は世間体を気にしすぎていいるのだろうか。今頃になって、俺が間違えているような気がしてきた。俺が相手の事を好きではなくても来織の理論は成立するのだろうか。俺は来織以外を好きになることはできない。


「あっきー、その星流って人もちゃんと事情を話してから仲間にしよう?」小首をかしげて彼女はそう言った。

「それでいいなら。来織がそういうならそうするか」

 俺の感覚も麻痺し始めているのかもしれない。でも、来織にああやって言われては反論できない。昔からそうだった。


 その間、織姫はずっと赤くなって、体をくねらせ、俺のことを褒め称えていた。空気を察しない素晴らしい奴だ。いい意味でも悪い意味でも。

 こうして悩み度100%な昼休みが終わった。

この先星流どうなるのか。素直に仲間になるのか?

続く!

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