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糖度100パーセント  作者: リクルート
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対照的な二人

 土日が終わって、月曜日の朝。来織が隣を笑顔で歩いている。聞けば、どうやら日曜日は女子だけで遊んでいたらしい。彼女はすっかり元気だった。

「来織ー、あきくんー」

 遠くから織姫が走ってきていた。

「おはよう、織姫。昨日は楽しかったね」

「おはようございます。ええ、また遊びましょう」

 本当に大丈夫みたいだな。これでまた大変で楽しい生活に戻るはずだ。


 登校していると灯勇、姫灯とも合流した。彼女たちの話を聞きながら、学校へと向かう。学校に入って靴を変える。それからそれぞれの教室に向かっていく。今日も学校で過ごさなくては。


 昼休み。来織、織姫、灯勇、姫灯が俺の教室に来ていた。一緒に昼飯にしようということらしい。俺が教室を出た時、彼女がいた。

「やぁ、こんにちは。私も一緒していいかな」

 そこにいたのは勇在先輩だった。


 中庭に移動してきた。勿論、勇在先輩も一緒にいる。ここまで来る途中で、来織には紹介を済ませた。来織はどこか不満そうだ。織姫が作って来てくれた弁当を食べながら、勇在先輩にどうしたのかを聞いた。

「ああ、それはね。私も驚いたんだ。まさか、私がこんな感情を抱くとはってね」

 彼女はなぜかニコニコしている。なんなんだ。そういえばあの昼休みの時も、おかしなテンションだったな。

「それでだ、そのな、私は、えと」

 彼女の顔が赤い。この感じは知っているぞ。俺の予想はあっている気がする。というか、ここで言うのか、みんなの前で告白するのか。俺はなんて答えればいいのか。


「わ、私は、き、きき、君の、ことが、好きだ!」


 うん、そう来るとは思っていたけど、言葉で言われると、照れる。まず、俺は勇在先輩ではなく、来織と織姫に視線をやった。彼女たちは先輩の方を見ていて、俺に答えてくれそうもない。灯勇は弁当に夢中だった。話の内容よりも織姫の弁当の方が大事なことらしい。まぁ、美味しな、弁当。姫灯は俺のことを見ていた。それは助けてくれると言うような視線ではなく、俺がどうするのかを試すような瞳だった。どうやら、誰にも助けは求められないらしい。

 どうすればいいのか。俺としては彼女も仲間に入れて欲しいと思う。友人がいなかった彼女に友人を作る機会だ。しかし、来織たちは俺が勝手にそれを了承するのを認めていない。考える時間はもうない。ああ、どうにでもなれ。


「あー、ありがとう。うん、それで、どうしたいんだ?」

「そ、それは、わからない」

 まぁ、そうか、そうだよな。俺も変なことを聞いた。ああ、これからどうしたらいいのか。

「ふふふ、あっきーのこと好きなんだね。それじゃ、やることは一つだ!」

 そう声をあげたのは、来織だった。結局、こうなるのか。

「あなたの得意なことは何?」

「え、いや、どうなっているんだ。理解できない。ちょっと待て」

 来織は言われた通り待っている。

 織姫はそれを黙って見ていた。他の二人は弁当を突っついていた。

「灯勇、美味しいね、これ」

「こっちもおすすめ。これも美味しい」

 二人だけほのぼのしていた。できることなら、俺もそっちの人になりたい。マイペース過ぎだ。


「よくわからないと言うことがわかった。今、どうなっているのか教えてくれないか」

「仲良くなる前には、戦って相手を理解しなくちゃいけないんだよ。だから、何かで争うの」

「いや、それがわからないんだが」

「そう言うルールなの。漫画ではそうなってるんだから」

 また彼女は、首を傾けて、今の状況を理解しようとしているようだった。俺も初めはどうしたんだとは思っていたが、ここまでくれば何を考えているのかはわかる。と言うか、もう彼女は自分の考えを言っている。直感的に行動する来織と理論的だと思われる勇在先輩では相性が悪いのだろう。そもそも来織の喧嘩の後は仲良しというのに理論はない。

「よし、もう考えるのはやめる。とにかく私の得意分野を言えばいいんだな。私の得意分野は発明だ」

「え、そんなの私できない。他は?」来織はそのあまりに予想外の答えに目を丸くしていた。

「あとは、記憶力には自信がある。そうだ、神経衰弱はどうかな」

「よし、それならわかるよ。それにしよう!」

 決まったところでチャイムが鳴り響いていた。

「勝負は放課後! あっきーの教室で! では、また会おう!」

 そう叫ぶと彼女は屋上から走って去っていった。

「あいつ 、片付けしたくなかっただけじゃねぇのか」思わず呟いてしまった。

「そうだと思うよ。来織はそういう人だからね」

 織姫が俺のつぶやきに返事した。わかってるなら止めてくれ。


 ほとんど昼飯を取っていなかったので、弁当を片付ける前に少しでも食べようと思って、弁当を見ると何もなかった。

「少し食べ過ぎちゃったかもね」

「お腹いっぱい」

 どうやら二人で全部食べてしまったらしい。満足そうな顔をしてらっしゃる。俺は一時間後にはお腹が空きそうな満腹度で、昼休みを終えることになった。

百話まではいかないようにします。あと少しだけ、お付き合いください。

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