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糖度100パーセント  作者: リクルート
4/70

約束

次の日です!

「あっきー、今のはどういうことなの」

 俺の彼女、来織(こおり)は怒っていた。理由は簡単。昨日のことを話したからである。

「いや、その、ごめんとしか言いようがないです」

「でも、もう来るってわかっているなら大丈夫かも。秘密にされるよりはいいよ」

「ほんと、ごめん」

 謝ることしかできないが、許してくれたらしい。今度何でも彼女の願いを叶えよう。

 そんなことを言いながら学校に登校した。彼女はさして怒っている風でも、気にしているようでもなかった。


「おはようございます。わたくしの事覚えていまして?」

 教室の前には昨日の彼女がいた。そういえば名前を聞いていなかったことを思い出した。

「昨日の今日で忘れるわけない」

 あえて名前は訊かない。来織に負けて姿を見ることはないと思うから。それに俺が彼女の名前を覚えていたら彼女が未練を残すかもしれない。

「何か用か」

「用事がなくてはいけないのですか」少し不機嫌そうな顔をしている。

「まぁ、そうだな。俺には彼女がいるし、用事もなく女子に纏わりつかれるのはあまりいいとは言えないだろ」

「それもそうですわね。それなら、『あなたに会いに来る』というのが目的」どうよっ! と言わんばかりの顔だ。

「いいから帰れ。それにそういう目的ならもう達成してる」

 俺は彼女に手で帰れと合図した。

「そうですわね。それでは今はもう帰りますわ。ごきげんよう」彼女はひらひらと手を振って去った。


 ああ、ひと段落だ。朝からなんだっていうんだ。全く。

「あっくん、今のって二人目の彼女?」そいつはまたニヤついていた。

「そんなわけないだろ。俺の恋人は来織だけだ」

「すまんすまん。わかってるって。しかし、あの人に好かれてるのか」

「それ、言ったっけ?」

「言わなくてもあの人の行動を見ればわかるよ」

「そういうもんか。しかし、なんだって今になっていうんだか」

「鈍感男にはわからないだろうね」彼はふざけた調子でいう。

 その言葉には一切返事をせず、授業の準備を始めた。


 午前の授業を終えて、昼休み。来織が教室に来ていたのだが、もう一人俺に会いに来ている奴がいた。

「ごきげんよう。あきくん。昼食を取りましょう」

 彼女が近くにいるというのになんとも厚顔なやつである。

「いや、何度も言うけど彼女がいるんだって。今もそこにいるし。俺は来織と食べるんだ」

「あら、いたのね。彼女さん。気づかなかったわ」わかっているだろうに嫌味ったらしくそいつは言う。

 一応好きな人の前なんだから少しはそういうのを抑えたりしないのだろうか。

「あなたがあっきーに言い寄ってる悪い虫ね。いい加減にしないと怒るよ」

「来織。そいつの相手しないで昼飯食べよう」

 彼女はわかったといって俺の後をついてきた。もう一人の方はついてくることもなく、去っていった。てっきり、付いてくるものだと思っていたが違ったらしい。それはいいか。昼飯だ!


 場所は校庭の真ん中花が植えてあり、ベンチもある場所だ。ここではたまに本を読んでいた。

「ねぇ、あっきー。あの人、綺麗だったね」

 来織が弁当を食べながらそう言った。

「あの人ってさっきのやつか」

 こういうと彼女は頷く。

「そうか? 俺は来織の方が可愛いし、綺麗だと思うけどな」

「なんていうか。お嬢さまっぽくて、かっこいい感じ。お姉さまって呼ばれるような」

「まぁ、話し方とか歩き方とかはそういう感じはするよなぁ」

「あっきー、あの人のところに行ったりしないで」彼女は俯いて顔が見えない。

「行くわけないだろ。来織、大丈夫だよ。絶対に離れたりしないからさ」

 俺は弁当を置いて彼女を抱きしめた。

「うん。ありがとう。約束だよ」

「ああ、わかってるさ。約束な」

 彼女は俺の胸に顔を当てて笑っていた。その顔は少し赤かった気がした。

 恋人度100%な昼休みは終わった。

漫画みたいな展開っ!


つ・づ・き・ますっ

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