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糖度100パーセント  作者: リクルート
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姫灯の印象

 娯楽部から出てきて、俺は姫灯の所属するクラスに向かっていた。確か彼女のクラスは二年四組だったと思う。俺のクラスと同じ階なので、すぐにわかるだろう。


 彼女のクラス内には何人かの生徒が居残っていた。男子が二人、女子が三人。男子と女子は離れてい喋っている。それぞれ何か紙に書いているようで、きっと教師からの課題を提出していないのだろう。俺はその何人かに話を聞くことにした。


「あの、ちょっといいか。訊きたいことがあるんだ」まずは男子に声をかけた。

「ん? あっきーさんだ」

「あ、えっと、どこかであったか?」そのあだ名で呼ぶ奴は一人しか知らないのだが。

「あ、ごめん。君は有名人だから。あんなに女子が周りにいて、話に上がらない方がおかしいって話だよ」

 まぁ、それもそうか。来織や織姫、灯勇に姫灯と一緒に居れば、確かに目立つな。騒がしいし。

「それで聞きたいことって何?」

「ああ。それなんだが九々姫灯っているだろ。あいつのことでちょっとな」

「九々さんというと中二病の女子の事?」先ほどの男子の隣の男子がそう言ってきた。

 俺はそれに頷きを返す。

「その子がどうかしたの? というか、あっきーさんの周りの人の一人だよね」

「ああ。それで最近はこのクラスに顔を出してないんだろう。そのことで少し聞きたいことがあったんだ」

 彼らはすぐに頷いてくれた。なので、俺はいろいろと質問をした。


 質問の回答をまとめると、まず最近どころか二年生になってからはほとんど見ていない。この学校は一、二年の間はクラス替えがないので、二年になってからいじめ始めたわけではないだろう。そのいじめに関してだが、特に何かあったわけではないようだ。途中、離れていた女子の三人も話を聞いていたのだろう。俺の問いに答えてくれた。女子の間でも特に姫灯をいじめたがっているような人はいなかったそうだ。ただ、一年の最初の時にいろいろ遊びに誘ったけど断られたと言っていた。授業に出なくなったきっかけについては何も知らないということだった。それに完全に出なくなるわけではなくて、たまに顔は出しているらしい。そのときにも声をかける人は結構いるそうでそれぞれ彼女に対して、気遣ってくれているらしい。この話を信じるとしたら、いじめどころか姫灯に原因があると思ってしまう。しかし、これだけでは誰が悪いとか、原因をはっきりとさせることはできないのは確実だ。


「ふぅ、何にもわかんない。もういっそ姫灯自身に訊いた方が早いだろうって感じだな」

 俺は姫灯のクラスから出て、また娯楽部に戻っていた。廊下が夕日に照らされている。人がいないので、普段通っている廊下とは印象が違った。彼女ももしかしたら、何かきっかけを与えることで印象を変えて、クラスに馴染めるかもしれない。と、そんなことを思った。


「何かわかりましたか?」

 部室に迎え入れられてから、すぐにそう聞かれた。

「それが、いじめられているどころか、クラスの人たちは気遣っていくれているようです。それにそんないじめの兆候なんてものもないそうです。こういうことは北さんも知っていると思いますが」

「それは彼らが嘘をついている可能性は考えましたか。私は聞いて回ることはできないので、もし彼らしか知らないところにお嬢様が連れていかれているとしたら、私は確認することができないのです。もしそういうことがあるのだとしたら、私は彼らを信じることなどできません」

 姫灯が心配なのだろうから、彼らが悪だという可能性を排除することはできないのだと思う。それでも俺は、彼らに悪意を感じることはできなかった。これはそういうことが悪いと思っていない人もいるということをわかったうえで、そう思う。

「今日あった人の中にはそういう人はいませんでした。少なくとも彼らは関係なさそうです。しかし、そういういじめが発生しそうな、そう、例えば連れていかれるとか、そういうのはないようですから、その可能性については考えなくてもいいと思います」

 目の前の彼はそうですかと頷いて、黙ってしまった。


 きっと、いじめとか、彼女のクラスの人が悪いというようなことはないと思う。それなら、クラス以外の人になる。これはもしかしたら、悪とは関係なく、北さんや姫灯の家族、俺が原因かもしれない。それなら何をどうすれば解決するのか。本当に彼女自身に訊いた方がいいかもしれない。俺には探偵の真似事は向いていないのだ。

 俺は北さんにそのことを伝え、彼はただ、一言だけ呟いた。

「それしかないのなら、仕方ないでしょう」

続く

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