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糖度100パーセント  作者: リクルート
33/70

余暇

 灯勇を起こして、学校に行く支度を始めた。来織がわざわざ朝食の用意をしてくれて、さらに織姫がそれを手伝っていた。姫灯はやることがないのか、おとなしくぼーっとしていた。それから、灯勇と共に朝食をとった。家を出るころにはいつも学校へ行っている時間から大幅に遅れていた。五人全員が俺のせいで遅刻では笑えない。しかし、少しだけ急げばホームルームの本例には間に合いそうだ。


 なんとか学校に到着して、靴を履き替えた。それから、クラスの違う皆と別れて、教室に戻った。ぎりぎり教室に入ったため、担任がすぐに入ってきた。それをクラスの人たちが確認するといそいそと席に戻っていった。そういえば、富勇にストーカーの事、相談してたっけ。解決したしお礼しなきゃな。そう思って彼の席に目を向けるが、そこに彼の姿はなかった。まぁ、後日でもお礼は言えるか。


 なんか忙しかった気がする。織姫の結婚を阻止して、灯勇のストーカーを倒して。いろいろ考えていたからか、なんとなく何も考えなくていい時間を嬉しいと思ってしまう。しかし、それとは反対に、何故か彼女たちに会いたいとも思う。彼女たちといると、何らかのトラブルに巻き込まれはするが、それが嫌だとか、鬱陶しいとかは思わない。それどころか楽しい。ああ、きっと俺はこの毎日に慣れ始めて、この毎日を気に入ってしまっているんだ。


 ただ退屈な授業を終えて、昼休み。俺は彼女たちを迎えに行くために、教室から出ようとしたら、すでに三人はそこにいた。いないのは姫灯だけ。

「姫灯はどうしたんだ。何か用事があるのか」三人に俺は問いかけた。

「姫灯は部室にいるって。朝に部室、開けてなかったから、今行ってる。それにあっきー連れて早く部室に来てって」

 そうか。朝はばたばたしていたし、仕方ない。来いっていることだし、早く行くか。


 娯楽部の戸を叩いて、姫灯を呼び、中に通してもらう。そこには何故か、北さんがいた。

「こんにちは、辺泥君、それに皆さんも」

 爽やかに挨拶すると彼はティーポッドから茶を注いでくれた。それをお礼を言ってもらうとそれぞれのタイミングで口を付けていった。

「よしっ、お昼ご飯にしよう!」

 言いながら彼女の持っている重箱の弁当を広げていく。どれも美味しそうな見た目に香りを出していて、腹が早くくれと喚いていた。

「じゃ、いただきます」

 俺を見守ることもなく、それぞれが食べ始める。なんか、当たり前みたい作ってもらっているけれど、感謝しなくてはいけないことなんだろう。皆の顔を見渡す。それぞれが楽しそうに、会話をしながら、食事している。俺はこれが幸せというものなんだと考える。正しいのか、間違っているのか。きっとそれは関係ないのかもしれない。

「辺泥君。ど、どうしたの? 私のか、顔に何かついてる?」

 どうやら俺の視線は姫灯に向いていたらしい。頬を赤く染めて照れている姿は萌えるというのかもしれない。まぁ、俺に人を恥ずかしがらせて楽しむ趣味はない。

「あ、いや、楽しいなって。そう思ってな」

「そう。私も楽しい、よ。皆と一緒で、好きな人たちと入れて、とっても楽しい」おどおどした彼女ではなく、そこにはしっかりとした意思があった。

 きっと本当に楽しいのだろう。いつか、北さんに言われたことを思い出した。彼女は社交的ではなく、それでも、彼女は勇気を出して、俺たちに話しかけた。その結果、彼女は楽しい時を過ごしているのだ。彼女自身に自覚はないかもしれないが、きっと彼女はもう誰とでも仲良くなれるのではないだろうか。


 昼休みが終わって、皆が部室から出ていく。しかし、姫灯と北さんはそこから出ては来なかった。

「姫灯、授業には出ないのか」

「う、うん。ちょっと、体調が悪いの」

 体調が悪いのは仕方ない。ここで休むのは感心しないが、俺もここを使わせてもらっている身だ。とやかく言うことはできない。

「じゃ、安静にな。お大事に」

「辺泥君、あとでお話がありますので、またここまで来てください。放課後で結構ですので」

 俺はそれにはいとだけ返事をして、その場を去った。






続く。

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