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糖度100パーセント  作者: リクルート
3/70

放課後ラブシーン

放課後なう!

 幸せな昼休みが終わって、午後の授業を受け終わった。やっぱり長く感じてしまう。

「あっくん、今日は一緒に帰れるのか」富勇(ふゆう)が声をかけてきた。

「いや、難しいかも。来織(こおり)がいるし」


 そう言ったが、忘れていた。彼女は部活があるのだ。確か卓球部って言っていた気がする。幼いころはよく一緒にやっていたが最近は彼女が強すぎてやる気が起きなくなっていたのだ。やっぱり彼女になっても負けるのは嫌なので会いに行くだけにとどめよう。


 そして、卓球部前に来ていた。なんか中からきゃっきゃと聞こえる。中に入りづらいなぁ。いくら彼女がそこにいても女子の中には入りづらいのは変わらない。まぁ、ノックしてみようか。

「はい、開いてますよ」

「いや、開けちゃダメ――――」

 引き戸のガラリという音とその言葉は同じタイミングだった。だから、これは仕方ないと思う。

 なんと来織が着替え途中だったらしく、下着姿だったのだ。正確にはシャツを着ていない。

 最近、ラッキースケベや手作り弁当など漫画らしいことばかりが発生している気がする。

「うわぁぁぁぁっ! あ、あああ、あっきー、でてってよぉぉぉぉ!」


 それから着替え終わった彼女が出てきた。

「もう仕方ないけどもう少し気を付けてよ」少し彼女は怒っていた。

「悪かったよ。ごめんな」

「準備してないときに見られたら、驚くよ」彼女は小声で言った。

 これは聞こえてないふりした方がいいよな。しかし、準備してたらいいのか、来織。

「それでどうしたの。何か用事? もしかして会いに来てくれたの」期待のまなざし。

「ああ、うん。一緒に帰れないからせめて会っていこうかなと」

「うれしい!」彼女は俺に抱き着いてくる。彼女の髪からいい香りが......。

「でも、ごめんね。一緒に帰れなくて」彼女は残念そうだ。

「いや、仕方ないよ。気にしないで。また明日会えるしさ」

 その言葉に彼女はうんと言って返事をした。そのあとはまた明日ねと言って別れた。


 しかし、なんとなく帰りたくないな。少し学校に残っていこうかなぁ。そういえば学校探索みたいなことはまだしていない。いや、高校生になってまですることではないかもしれないが。時間もあるしやってみよう。何か見つかるかもしれない。


 俺は学校探索を始めた。まず、どこに行こうか。そうだ、あまり行かない図書館の方に行こう。


 図書館は静かだった。本が並んでいた。俺は本は読むが図書館で本を借りるということはあまりない。潔癖症というわけではないが、誰が手にしたか、わからないものというのは好きではないからだ。しかし、この本が多くあるところは落ち着くなぁ。やることもないので、その場を後にした。


 次は視聴覚室に来てみた。特に何もなく、図書館よりもやることがない。しかし、視聴覚室はほとんど使われない部屋だと思う。今は教室にある用具で事足りることが多くなっているので意味が薄れつつある。視聴覚室は生き残れるのか。今後の動向に注意していきたい。いや、どうでもいい。


 なんか足が疲れてきた。歩いているだけなのだが図書館と視聴覚室は反対方向にあり、そこそこに距離が開いているのである。何も面白いことはなかった。さぁ、帰るか――――


ドンッッッ!


 何が起きたのか全くわからない。俺は地面に尻もちをついている。そしてだ。なぜか、胸の方が温かい。その方向に視線を向けると、誰かが俺の胸にすっぽりと収まっていた。

「な、何してるんだ」

 その人は何も答えずにずっと俺の顔を見ている。頬を朱に染めるわけでもなく、申し訳なさを出しているわけでもない。

「なぁ、どいてくれないか」

 その言葉にも反応しない。なんなんだ、こいつは。


 「わたくしはあなたが好きだわ」

 三分ぐらい待ったところ、急にその人は喋った。しかも、好きとか言ってる。多分、恋愛的な「好き」ではないはず。

「そうですか。それはいいのでどいてください」

「わたくしの告白を無視するの」

 なんとも反応が早い。今、「どいて」の「ど」の辺りで被せてきたぞ。

「私は、あなたに、恋情を抱いている、と言っているの」

 なんでなんだ。なんで彼女ができてからモテるんだよ。意味が分からん。それより断らなきゃな。

「悪いけど、俺には彼女がいるんだよ。だから、君とは付き合えない」

「それは知っているわ。今日、その話は流れていたからね」

 知っているのに言ったのか。常識知らずか?

「そうね。常識的にはおかしい。それはわかっているわ。でもね、あなたのことを好きなのは私もなのよ。先を越されただけで、諦められないの」彼女は真剣な顔で言う。

 なるほど。そういう経緯があるのか。しかし、こういうことは本当の同時でもないと早い者勝ちになるのではないだろうか。しかし、あんた心読めんのかよ。

「いいわ。明日、あなたの恋人に勝負を仕掛けるわ」

「いや、ちょっと――――」

「あなたに拒否権はないわよ。わたくしの恋情はあなたの恋人より上ですから」

 そう言い残して彼女は去っていった。

 やばいな。うん。来織に怒られるの覚悟で明日言わないとな。まぁ、何で勝負しても彼女が負けるはずはないけどな。

 不安度100%な未来を残して、今日という日(がっこう)が終わった。

卓球って面白いですよね。


つづくっ!

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