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糖度100パーセント  作者: リクルート
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お泊り会 午前

「なぁ、姫灯はどこに行ったんだ」

「彼女はまだ寝ています。昨日は話に花が咲いて、眠るのが遅かったのです」俺の問いに答えたのは織姫。

 そうか、まだ寝ているのか。ちなみにお泊り会を開いてはいたが今日は平日である。なので、俺たちの行動とは関係なく、学校はある。だから、そんなに寝ている時間はない。

「今日も学校はあるから、誰か姫灯を起こしてやってくれ」


 彼女を起こす役目は誰であろう俺自身だった。何故かじゃんけんをして負けた人が起こしに行くという話になって、俺以外の三人は口裏合わせたように俺を一発で負けさせた。絶対に結託していると思うのは俺だけのなのか。

 昨日彼女たちが寝ていた部屋に入る。その部屋はまるで誰も使っていなかったかのようにきれいな部屋になっていた。しかし、その部屋の隅に布団の上に安らかな顔をして寝ている奴がいた。もちろん、姫灯だ。

「姫灯、起きろよ。学校あるんだからな」

 体に触れるのは悪いと思い、俺は声だけで起こすことにした。これで起きなければ、仕方ない、揺するしかない。


 何度か声をかけたが起きる気配が全くない。熟睡しているという他ない。仕方ないので俺は、その体を揺することにした。

 と、そのとき、不幸にも彼女の目が開いていた。ゆっくりと目を開けて、俺と視線があうと、目をパチクリとしていた。俺の手は彼女に向かって伸びている。それを彼女はどう思ったのだろう、とか考える間もなく、彼女は顔を赤くした。

「な、な、な、なんで。どど、どうして。あ、あ、」

 俺は確信した。これは叫んで俺が問い詰められるのだろうと。

「きゃぁぁぁぁぁぁ!」


 俺は居間にいた。前には四人の女子がいる。彼女らは俺に怒っているような、確かに言えるのは不満そうということだけだ。と、冷静なふりをしても俺の冷汗は退かない。

「あっきー、何しようとしたの。姫灯に」

「俺は起こそうとしただけだ。うん」

「あきくん、言い訳は格好悪いですよ」

「いや、それはなんとも言えないです。はい」

 俺の声が掠れていく。この人たちの目線が怖い。

「あ、あの、本当に辺泥君は悪くないの。私の事起こそうとしてくれただけだから」恥ずかしさが抜けた姫灯が俺の味方になってくれた。しかし、それはもう起こすとか起こさないとかいう問題ではなかったのだ。


「違うの! あっきー、いい」まるで子供に叱るようだ。

「あっきーはね、もう少し気を付けて行動して。私の時だって、着替えてる途中に入ってきたでしょ。あっきーの周りにはそういうことが溢れてると思って!」

 それはあまりに理不尽ではないだろうか。俗に言うラッキースケベというやつは俺自身には思いもよらないところから不意打ちを仕掛けてくる。それを未然に防ぐのは無理だ。だって、予想できないんだから。でも、俺は反論はしない。

「ああ、わかったよ。気を付けるから」

 というか、そもそも俺を起こしに行かせたのは三人だ。俺はつくづくそういう星の下の生まれらしい。やれやれだ。


 そんな事件があったにも関わらず、すでに出来上がっていた朝食をいただく。今日は北さんが作ってくれたらしい。彼は姫灯が叫んだ時に一番に飛んできたが、俺を見ると過ぎに去っていった。気まずそうではなく、なんというか何があったか知っているような風だった。多分、勘違いはしていないはずだ。


 朝食、支度が終わって、俺たちは五人で登校した。北さんと世葉さんが留守番をしてくれるようなので、今日は一段と安心して家を出た。彼らなら何かを盗むとかはしないだろうし、二人とも何を考えているかわからないようなところがあるが信用できる人だと思う。

「そういえば、あっきーのあだ名決まった?」

「その、それは、まだ」彼女はすまなさそうにそう言った。

「別に今まで通りでいいんじゃないか。無理してあだ名なんて決めなくてもいいだろ」

 あだ名はなくても友人として、いや、恋人として生きている奴だっているはずだ。それなら、そんなの決めなくとも、いいと思う。

「そうですね。わざわざ決めなくともいいでしょう。それで仲の良し悪しが決まるわけではありませんから」


 こうして平日なのにも関わらず開催したお泊り会が終わって、俺たちは学校へと登校した。

寒い。今日は雪の中をスニーカーで帰ってきました。大変です。


話は続きます。

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