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糖度100パーセント  作者: リクルート
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21/70

UG、見参!

 翌朝、すでに俺の家には三人の見慣れてしまった顔ぶれが並んでいた。キッチンには来織、織姫。その前にあるテーブルには灯勇が座っている。一週間も経っていないにも関わらず、慣れてしまっている自分がいることに少し驚きを感じつつも、その光景を嬉しいことと認識している自分がいることもまた確かなことだ。しかし、今日はキッチンに立つ二人の機嫌があまりよくは見えない。


 原因は一つ。眠気から覚めた頭でも簡単に思い当たる節がある。おそらく、いや絶対昨日のことに決まっている。それは中二病の、しかし、中身はおとなしい彼女の事だ。俺も今聞いたばかりだが、灯勇は料理組の二人にこのことを言ったらしい。それに対して怒っているのだ。その中身は浮気したというような内容ではなく、このことを二人にさっさと伝えなかったことにある。それで、二人は不貞腐れているようなのだ。しかし、過ぎたことはどうしようもない。解決方法はないのか、模索する。


 簡単なのは、多分後ろからそっと前に腕を回して、耳元でごめんと囁くだけでいいかもしれない。だが、そんな少女漫画のような恰好を付けたような方法は取りたくない。それに恥ずかしい。俺は度胸のある人間ではない。それこそ三人も近くに女子がいることで浴びる視線に耐え切れなくなりそうなほどだ。そうとなれば、時間が解決してくれるのかもしれない。それは、最低か。

 いや、みなまで言うな。わかっている。素直に謝ろう。


 心の中の会議では素直に謝るが可決されました。


「あー、その、すぐに伝えなくて悪かったな、二人とも」

「「うん」」

 二人は許してくれていないみたいだ。うんとは返事をくれるだけましなのかもしれないが。

 俺が次にいう言葉が、結局この結果かと言わざるを得ないことになってしまった。

「何でもいうこと聞くからさ、許してくれ」俺は両手を合わせて、ごめんと示した。

「「「なんでも?」」」

 さらっと灯勇も中に入っていた。ちゃっかりしているところはみんなの共通点らしい。


 それから俺は抱き着けという命令や頭をなでろだの、膝枕してだのさせてだので大変な経験をした。朝からハードな出来事だった。全く、疲れる。そう心で思いながらも俺は笑っていたのだろう。


 そのあと、学校までの道のり。この一週間は登校時には特に俺に告白するなんてイベントはなかったので油断していた。彼女はこの時間に攻めてきたのだ。

「はっはっは。私はUGだ。昨日は迷惑をかけたな」

 来織と織姫は停止した。つまり、昨日の俺と灯勇だ。やはり、こうなるようだ。二人は俺を見るでもなく、固まっている。視線はがっちり彼女に向けられている。いや、二人だけではない。登校しているほとんどの人が視線を向けている。

「どうした。私の魔力量に圧倒されているのか」昨日と同じセリフを言う彼女。

 硬直が先に溶けた来織が俺の方に視線を向けてきている。その視線はこの人は何者なのかと訊いている。俺は病気の彼女に向けていった。

「もとに戻れ」


「あの、その。私、緊張するから、ああしてると大丈夫だから、その」

 これがこの人の素顔だ。なんとも裏表のある奴だ。

「もしかして、昨日、あった人ってこの人?」来織がそう訊いてきた。

 俺は頷きだけで返した。ちなみに織姫は俺の背に隠れている。多分、状況を理解できないのだろう。俺も最初はそうだった。というか、昨日の話だしな。

「そう、ところで名前は?」

「ふん。名前を名乗るのはあなたの名前を聞いてからだ」

「それをやめろと言っている」こういうと彼女はすぐに戻る。まるで呪文だ。

「そうだね。私は煮雪来織っていうんだ。あなたは」

「わ、私は、九々(くく)姫灯(ひめり)、で、す」

 とぎれとぎれで名前が綴られる。九々姫灯。聞いたことは、もちろんない。昨日は名乗らずに別れたから。

「私は昨日、辺泥君から一緒に居てもいいと言われたのだ。だから、こうして朝から迎えに来た!」

 もういい加減突っ込むのはやめよう。かなりどうでもよくなってきた。さらに来織の性格を忘れていた。織姫、灯勇が友達になるときにやっていたことだ。

「一緒に居たいのなら、私と勝負しなさい。競技は何でもいいからさ」腰に手を当てて偉そうにそういった。

 しかし、俺はそれを止める術を学んでいない。なぜなら、二人の時も何ができるわけでもなかったからだ。俺は見守ることしかできない。

「ふん。私と勝負だと。面白い。私が決めていいのなら、決まっている。それはビリヤードで勝負だ!」


 それから、彼女は颯爽と去っていった。もちろん学校の方にだ。俺たちも学校へと向かった。

続く

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