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糖度100パーセント  作者: リクルート
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織姫の理由

 私があきくんを好きな理由は案外単純だと思われるでしょう。それは幼いころの思い出です。あきくとの思い出。あきくんが覚えていないほどわずかな時間の思い出です。


 それは些細なことでした。私は習い事が嫌で嫌で家から飛び出しました。


 もう予想がついているかもしれません。それほどに単純なことでした。


 家を飛び出したのはよかったのですが、私はまだ家の周りの事さえよく知りませんでした。だから、当てもなく歩いて、ただただ寂しかったのを覚えています。


 そこであの公園に着いたのですが、そこには一人の少年がいました。

 

 そうです。あなたですよ、あきくん。


 あきくんは私を見ていました。少し離れたところにいたのが多分、来織だったんでしょうね。それで、寂しかったこともあり、私はあなたに話しかけます。あなたは私に誰かも聞かず、一緒に遊ぼうと言ってくれました。


 そうなんですよ。あきくんはその頃から女の子を誘っていたわけです。


 そう言ってくれたので、私はあなたと遊びました。それは私の知らない遊びばかりでしたが一つずつ、あきくんは教えてくれました。怒ることもなく、いじけることもなく。一生懸命教えてくれました。遊んでいるうちに、日は落ちて暗くなっていきました。私は帰り道を知りません。


 なんでって。それは当てもなく歩いていたからですよ。


 それから私が元気がなくなったことに気づいたあきくんは心配してくれていたのでしょう。私を家に送ると言ってくれたのです。


 そうですね、完全にナンパですね。でも、小学生の低学年ですから。


 それから家はどこらへんとか、名前と聞かれたましたけど、それを聞いてもあきくんは私の家はわかりませんでした。それでも諦めないで一緒に歩いてくれました。それからようやく見たことがあるような道にたどり着いて無事家に送ってもらえたのです。それから、あきくんは私の両親に送られてあなたの家まで送られていきました。


 まぁ、子供ですし、もう暗くなっていましたから。


 それから次の日、私はまたあなたに会いたくて家を出ました。今回は母親に行ってから家を出ました。母親が何かニヤッと笑っていたのを思い出します。幼い私にはそれが何を意味するのか分からないので気にせず、またあなたのいる公園に向かいました。


 どうやって、ですか。それは多分、あきくんに会いたい気持ち、でしょうね。


 恥ずかしいことは言ってませんよ。


 そして、公園に行くとまたあきくんがいました。その日も来織はあきくんとは遊ばずに何か一人でやっているようでした。そして、あきくんは私に気が付くとまた、今日も遊ぼうと言ってくれました。日が落ちるまで遊んで、帰るころになりました。そこで私は少し悪知恵を働かせて、ハンカチを落とします。


 その通りです。シンデレラと同じことをしました。まぁ、誰が落としたかは一目瞭然ですが。


 そして、次の日あきくんが(うち)に来ました。


 え、急展開過ぎですか。まぁまぁ、ちょっと聞いていてください。


 なぜ来たのかというと私の落としたハンカチを早く返したかったからだそうです。それを見た母親は感心して、ある作戦を私に告げました。それはお礼として、これを彼に渡しなさいと。


 それから公園にあきくんと行って、遊んでそれから帰るとき私はあきくんにお礼としてそれを渡しました。そのとき、あきくんはこう言いました。


「優しいんだね。嬉しいよ」と。


 私にはそれが嬉しくて嬉しくて、それで少し恥ずかしくて。それから私は家に帰りました。


 しかし、家から抜けるのはだんだんと難しくなり、会う機会も減っていきとうとう会わなくなりました。それから、私は彼を好きでいました。忘れることができない。そんな恋心でした。


 それから月日が経って、高校生になるとき、本当はお嬢様が通うような女子高を蹴って、この高校に入学しました。


 あきくんがここにいるのは知っていました。

 

 なぜかですか。それは乙女のヒミツです。


 それからあなたを見つけて、昔よりも格好良くなっていて、それでチャンスはいつだろうか迷っているうちに来織に先を越されて。悪いことだとはわかっていても、この心は止められなくて。だから、あの時決心してあなたにぶつかりました。しかし、ぶつかってからどうしようかわからなくなって固まっていました。


 そうですよ。あきくんは気づかないし、それは固まるしかなかったんです。


 それからはあきくんの知っている通りです。


 以上が理由も含めた成り行きです。どうでしたか。

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