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糖度100パーセント  作者: リクルート
1/70

彼女が朝にやってきた

どうぞ、見てください

彼女と彼氏にむかつかないでやってください!

 「私と、付き合ってくれない?」

 「あぁ、わかった。俺も来織(こおり)のこと好きだし」

 誰もいない公園、二人を照らしているのは橙色の光。とてもきれいな輝き。

 幼い頃から一緒だった彼女は俺を必要とした。そして、俺も同じく彼女を必要としたんだ。

「あぁ、よかった。私だけがあなたを好きなのかと思った」彼女は頬を染めている。

 あぁ、かわいいなぁ。この人が俺の彼女になったのか。嬉しい。

「はは、来織も俺のこと好きなら俺から告白すればよかったよ」

「いいよ、結局両想いだったんだもん」彼女は笑う。

 夕日に照らされた二人はもうしゃべることなく手を繋ぎ、帰っていく。



「あっきー、起きて。ねぇってば」

「んー。あ、おはよう、来織」

 彼女の笑顔が輝いている。というか。

「なんで俺の部屋に居るんだ」

「あたりまえだよ。彼氏を起こすのは彼女の役目でしょ」

 なんという発想だ。それは漫画の中だけだと思っていた。

「まぁ、いいからさ、早くご飯食べなよ。私が作ったんだよ?」首を(かし)げて、唇に人差し指を当てて言った。

 天使だ。彼女は俺の中では天使と化している!

 朝から心にエネルギーが溜まっていく。毎日がハッピーになりそうな予感だ。

 俺はリビングのテーブルの上を見て、腹が鳴った。目玉焼きにベーコン、きれいに焼けたパンが並んでいた。

「あっきーの為に作ったんだよ。美味しくないかもだけど」

 そう思うなら作らなければいいのに、なんて思わずに俺は皿に乗ったそれらを食べ始めた。

......どれもうまい。当たり前か。俺の彼女だし。

「どう、かな。焼いただけなんだけど」心配そうに彼女は俺を見ていた。

「もちろん、うまいよ!」

 そう言ってやると彼女は元気な笑顔を見せてくれた。この笑顔だけで生きていけるかもしれない。

 時計を見ると8時になっていた。今日は平日で学校があるのでそろそろ家を出なくてはいけない。準備はいつもより遅れてしまっている。急がなくては。

「あっきー、これ制服ね。ここに置いておくから。それから鞄にちゃんと教科書入れたからね」

「ああ、ありがとう。ちょっと待ってくれ」

 急いで支度を終えて家を出る。鍵を閉めるのも忘れない。

 ――――ん?鍵?

「なぁ、来織。鍵閉まってなかったか? いや、少なくとも開いてはいないはずなんだが」

「え? 開いてたよ。誰かが閉め忘れたんじゃないの?」

 確かに母は朝早くに仕事へ行くし、少し忘れやすいところはあるが、鍵を閉め忘れることはあるのだろうか。いやしかし、若いころは田舎に住んでいて、鍵閉めなくても大丈夫とか言ってたしなぁ。彼女が勝手に開けたとも考えにくい。一般人がピッキングを覚えているとは考えにくい。

「どうしたの、あっきー? やっぱり鍵開いてたのが心配?」

「ああ、いや、なんでもないよ。確かに鍵は心配だけど、たぶん母親だと思うよ。父親は今、いないし」

 そういうと彼女はそっかーと言って歩き出した。俺もそれに続いた。

 鍵なんかの心配よりも彼女とのスクールライフを楽しんだ方がいいよな。今日から何をしよう。

「あっきー、何考えてるの?」彼女は俺の顔を覗き込んでいた。

 もちろんこう言ってやった。少女漫画の男性っぽく。

「君とのことだよ」キリッ!

「そっかー。学校で何しようね」

 無視された。いや、気づいていない。そう思おう。心が痛まないように。

 そんな糖度100%な甘い空間を作りながら学校まで登校した。

まだまだ続きます。

次回も見てくれら嬉しい。

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