第6話 接触失敗?
どうしよう、この状況・・・。
何も考えずに降下した俺は、後悔していた。
目の前の少女にしてみたら、
危険人物に追われている行く手に、
もっと危険な魔物が降りてきたことになる。
「な、なんでこんなとこに、ドラゴンが居るんだよ!」
「んなもん知るかよ!冗談じゃあない!」
どうにかコミュニケーションを取りたいんだが
そもそも言葉って通じるのか?
こっちが喋ってるつもりでも
相手に伝わってないこともありそうだし・・・
「てめえのせいだ!妖精を見つけたとか言うから・・・」
「そうだ、なんとかしろよ!」
「うるせぇ!お前らだって喜んでついてきた癖に!」
いや、でもあっちの言葉がわかるんなら
こっちの言葉も通じるかもしれないしな。
「とにかく、妖精とっ捕まえて、さっさとずらかるぞ!」
つーか、人が考えごとしてるんだから、
ちょっとは静かにしてくれませんかね。
ドンッ!!!
イラっとした俺は少しだけビビらせる為に、
威圧的に魔力を出した。
出す、といっても体感一割も出していないのだが、
「「「 ひぃぃぃ!!! 」」」
・・・ものすごい勢いで3人が逃げていった。
そんなに走ると危ないぞーって、
忠告する間もなく1人転んでるわ。
気にも留めずに残りは逃げてるし・・・。
ちょっとやり過ぎたかな?
まあ、あっちは悪者っぽかったから別にいいか。
「あのぉ~。」
「・・・。」
1人逃げなかった少女に話しかけてみるが反応がない。
「もしもーし。」
「・・・。」
へんじがない。
「聞こえてますかー?」
「・・・。」
へんじがない。
「やっぱり言葉が通じてないのかな・・・
それだとすんごい困るぞ・・・。」
現状唯一この世界での情報源だ。
なんとかして対話しなくては!
この体でボディーランゲージは至難の業だが、
とにかくやるしかない。
目の前で手を振ってみる。
すると何度かまばたきをして、
綺麗な緑色の瞳がこちらを捉えた。
「あ、よかった。やっと反応してくれた。
俺の言葉、通じてるかな?」
じっとこちらを見てくる妖精の少女。
改めて見てみても、もの凄い美少女である。
マズい、新たな扉が開きそうだ。
アホなことを考えていたら、
少女の口がゆっくりと動いた。
なにか言葉を発しようとしている。
よかった、言葉伝わってた、
などと安堵したのもつかの間、
「・・・きゅ~。」
気絶した。
「・・・・・・ハイ?」
その場に倒れていく少女。
「ちょ、マジかよオイ!」
慌てて少女の容態を確認する。
手がデカすぎて脈をとるのも大変だ。
「脈あり、呼吸問題なし。
ふう、ただ気を失ってるだけか。」
「しかし服ボロボロだな、
血は止まってるみたいだけど。」
一応回復魔法をかけておく。
次に時間魔法を使って服の時間を戻し、
新品同様にしておく。
「目覚めるまで待つしかないか・・・。」
その場に寝そべり、起きるのを待つ。
こうして異世界始めての対話は、大失敗に終わった・・・。
お読みいただきありがとうございます。
次こそお話しタイムです。