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第4話 初遭遇

外に出た俺は取り敢えず高い所を目指して飛んだ。

元々出口が山頂近い場所だったらしく、

ほどなくして頂上に辿り着いた。

ちょうどいい岩場を見つけたので、

そこに陣取ることにする。


「ん~、空気がうめぇ~」

大きく深呼吸し、新鮮な空気を吸い込む。

久しぶりの外だしかなりリラックスできそうだ。


「さて、ここはどこなんでしょうねえ」

辺り一面緑の海、大森林が広がっていて、

少なくとも見える範囲に人工物は見えない。

どうやら、樹海ど真ん中の山にいるらしい。


「見渡す限りに森、森、森・・・

お、湖発見、そしてまた森・・・」

たしかに絶景なのだが、今必要なのは

美しい景色ではない。

ここはどこで、なぜ自分がここにいるのか。

情報が圧倒的に不足していた。


「人がいるとは思えないけど・・・

取り敢えずやってみるか」

とりあえず思いつきで魔法を使ってみる。

自分を中心としドーム状に魔力を広げていく。



生命探査ライフサーチ



適当に作り適当に名付けたこの魔法は、

自分の認識している範囲内に存在する生命体を確認する。

さらに見つけた対象の感情もある程度ならば識別できるようだ。



「動物にしちゃあデカいのがいるな・・・

魔物って奴か?空にもなんか飛んでるし、

少なくとも友好的な感じじゃないな」

そう言いながら、さらに範囲を広げていく。

だが数百キロ程まで広げてみても、人っ子一人見つからない。


「やっぱり、いないか・・・あれ?」

いい加減諦めて、違う場所に行こうとしたその時、

端っこに人型のような反応があった。

そちらに意識を集中させると、

間違いなく人間のようだ。


「やっと見つけた!」

そちらに向かい翼を羽ばたき飛んでいく。

こちらに来て始めての知的生命との接触である。

ワクワクしながら向かっていくと、なにやら様子がおかしい。


反応は4人。

3人が1人を追いかけているようだ。

逃げている1人の感情は恐怖。

追いかける3人は欲望、愉悦、悪意。

どうやらロクでもない人種らしい。


「なんか、厄介事の匂いがプンプンするぜ・・・」

とはいえ貴重な情報源、見逃すわけにもいかない。

そうしている内に彼等の頭上に到達する。

都合よく着陸できそうな場所などないため、

少々無茶をし、木々をなぎ倒しながら舞い降りる。


降りた先にいたのは、見るからに盗賊、といった

感じの悪人面が3人。

薄汚れた服装に血に濡れた剣。

流れてきている感情からわかっていたが、

どこをどうみてもこいつらが悪者である。

だが、眼前に降りてきたドラゴンにビビったのか、

微動だにしていない。



追われていたもう1人は、人間ではなかった。

身長は子供ほどしかなくかなり小柄。

薄桃色の髪に碧色の瞳。

ブカブカに見えるローブは所々が切り裂かれ、

華奢な腕からは血を流しとても痛々しい。

そして何より、少しだけ浮かんでいた。


その少女は、驚愕の表情で舞い降りた

ドラゴンを見上げていた。

なぜ、どうして、といった困惑が

ありありと伝わってくる。


だがドラゴンも顔には出さなかったものの、

とてつもなく驚き、固まっていた。

その理由はもちろん、目の前の少女である。



(まさか、妖精さん!?マジでファンタジーじゃん!)



自分がファンタジーの世界の住人になっている事など

すっかり忘れて、元の目的を忘れるほど

俺は目の前のメルヘンに舞い上がっていた。




お読みいただきありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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