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第1話 現状確認

「どうするかねぇ・・・」

混乱して叫んで少しだけ落ち着いたおかげなのか、

ようやく頭が回転するようになってきた。



「夢じゃないか、って思いたいけど・・・リアル過ぎるし、

夢だと思っても目覚めないし・・・」

あまりにも現実感があり過ぎる光景である。

光る空間、ドラゴンとしての肉体、

そして何より、ここが夢ではないと

なぜか本能的にわかってしまった。


「そりゃあ人生つまんねーとか、仕事したくねーとか、

考えてたことはあるよ?けどさ、いくらなんでも

いきなりこれはないだろ・・・」

その場に寝そべり尻尾をぶんぶん振りながら、

ぼやき続ける龍が一匹。


「つーか、なんでいきなりドラゴンなんだよ、

俺、昨日までただの一般人だぞ。

普通のリーマンが、いきなりドラゴンにされて

どうしろってんだよ・・・」

さらに脱力しゴロゴロしながらぼやく龍。

なんとも情けない姿である。


「まあ、なっちまったモンはしょうがねえか」

ただこの男、現実に流されることには慣れっこだった。

夢でも現実でも、本当はどちらでもよかったのだ。

余計なことを考えることが、嫌いなタイプでもあり、

自分がドラゴンになったことも、

『まあ、そんなこともあるだろ』

と、直前までのぼやきもあっさり流してしまった。

人がドラゴンになるなど、そうそうあるわけないのだが。



「取り敢えずは、衣食住かな」

思考を切り替え体を起こし、まずは生きることを考える。

「服とかは・・・、いらねえか、着れねぇし」

ドラゴンに服がいるハズもない。


「食事は・・・今はなぜか満腹だけど

そもそもなに食べるんだ?」

普通の龍種ならばともかく、

『神龍』は基本、食事を必要としない。

しいてあるなら、魔力そのものが主食である。

・・・もっとも、彼はそんなこと知らないが。

「まあ、満腹だから後にしよ」


「家は・・・ここでいいか、なんか妙に落ち着くし」

神龍自身が持つ魔力と、この土地本来の魔力。

二つの魔力が混じり合うことで、生まれた数多くの魔石。

それらに周囲を埋め尽くされたこの場所は、

膨大な力に包まれ、もはや聖域と化していた。

・・・もちろん、残念な彼は、気づきもしない。



「・・・あれ、別に急いでやることなくね?」

考えを巡らせた所、現状特に問題が無い事がわかった為、




「よし、寝よう。もう疲れた」



再びその場に寝そべり、寝る体勢になる。

実際には、ここがどこなのかとか、自分の能力の確認とか、

やるべきことはまだまだあるのだが。


「明日のことは、明日考えよう」


ダメな大人の代名詞のようなことをつぶやき、

彼は夢の世界へと旅立つ。


神龍になった男の一日目は、こうして何もせずに終わっていった・・・


お読みいただきありがとうございます。

主人公はなかなか外に出ません。

だらだら家で過ごします。

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