第15話 これから
つ、疲れた・・・
まさか全員撫でまわすことになろうとは・・・
あの後しばらく2人を撫で続けると、ようやく満足してくれたようだ。
ラズリーは嬉しそうに飛び回り、ラピスは撫でられた髪に触れ恥ずかしそうだ。
そんな2人を見てなごんでいたのだが、
ふと気が付くと周りの妖精達がワラワラと集まってきていた。
すると全員が頭を撫でて欲しそうにこちらを見ている。
あれだけ気持ちよさそうにしているのを見たら、そりゃ自分たちもってことか。
・・・これはやらないとマズい流れだよなぁ・・・
「神龍様、あの・・・」
ラピスが申し訳なさそうにこちらを見つめてくる。
「大丈夫だよ。ホレ、みんな並んで順番にだぞ~」
そう言うと全員が行儀よく二列に並んだ。
「「「 神龍様、お願いします‼ 」」」
そんな気合入れることでもないだろうに・・・
そうして俺は、再び妖精を撫で始めるのだった。
並んでいた全員を撫で終わる頃には、日が暮れ始めていた。
他の妖精達は満足してくれたようで、それぞれの家に帰っていった。
「ふへ~、流石にちょっと疲れたな」
疲れを感じるのはこの身体にまだ慣れて無いからだろうな。
「神龍様、大丈夫ですか?」
ラズリーが心配そうに聞いてくる。・・・ん?
「なあ、ラズリー。それなんだ?」
飛び回っている彼女から、キラキラと何かが舞っている。
光の粒子のようなそれは、とても神秘的で美しい。
「それって・・・これですか?」
その粒子を手の平に掬いながら問いかけてくる。
「わたしたちが調子のいい時によく出ますけど・・・」
どうやらあまり気にしたことが無いようで、イマイチわかっていないようだ。
不思議に思っていると、ラピスが答えてくれた。
「一応は余剰魔力を放出している、と言われています。
ですけどなんでもない時に出る事もありますし、
正確なことはわかっていませんね」
なぜ光るのか、理由もその必要性もわからないようだ。
まぁ、害が無い物ならいいのか。綺麗だし。
そんなことを話しながら、2人の家に向かう。
この後どうしようかと悩んでいると、
「ひとまず、家にいらしてください」
そういってくれたラピスの好意に甘えることにする。
そうして連れていかれた家は、森の中の小屋って感じだった。
「狭い家ですけど・・・どうぞ」
「おう、お邪魔します」
中はそこそこの広さだった。まぁ二人暮らしだったらこの位だろう。
「神龍様は、これからどうなさいますか?」
椅子、というか切り株に腰掛け休んでいると、ラピスが聞いてきた。
「どう、っていうのは?」
「今後の予定といいますか、何をなさるつもりなのかと」
「???」
質問の意図が分からず、首をかしげていると、
「神龍の巫女として、私は何をすればいいのでしょう?」
いまいちわからんが、今後の予定って言われてもな・・・
「特に決めてないな。逆にやって欲しいこととかあるか?」
別に急いでやるべきこともないし、元々の目的だった情報収集も充分。
このままここに永住でもいいくらいだし。
「そう、なのですか?」
「ああ。現状特に問題もないし」
強いていうならさっきの話に出てきた龍神とやらか。
なんか向こうが会いたがっている感じだったからな。
けど、そこまで切羽詰まった状況でもないだろうし。
気が向いたときに会いに行く、くらいの気持ちしか今はもっていない。
「それでしたら、一つお願いがあるのですが・・・」
「ん?なんだ?よっぽどの無茶じゃなければ大丈夫だぞ」
「ある方に会いに行くので、一緒に来ていただきたいのです」
この時、俺は少しだけ早まったことを後悔した。
「私達、妖精の全ての母でもある存在、妖精王に」
・・・今度は両親への挨拶に行くことになりそうだ・・・
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