第11話 世界の種族
そしてラピスは基本的なことから教えてくれた。
名はアースガイア。魔力に満ち溢れ、様々な種族が存在する世界だそうだ。
人間族、獣人族、魔族、龍族、エルフ、ドワーフなどが居るらしい。
その中でも人間は数も多く、かなり広大な土地を支配しているようだ。
おまけに他種族を奴隷にすることも多いとのこと。
「人間も魔法を使えるのか?」
前の世界じゃ考えられないことだけど。
「はい、魔力があるならどんな存在でも魔法は使えます。
流石に私達妖精やエルフには劣りますが数がいますから」
「人海戦術で押し切られるってことか・・・」
「じん・・・なんですか?」
「いや、気にしないでくれ」
人間は数でもって強くでてるってことか。なーんか気に入らねぇな。
ここにいる妖精達も人間を避ける為にこんな森の奥深くに住んでいるらしい。
たまに好奇心に負けて外に出ていく者もいるようだがほとんどが帰らず、
戻ってきた者は人間の恐怖に怯え、外に恐怖を覚えてしまう。
そのせいか妖精にとって人間は恐怖の象徴のようだ。
「近頃は獣人族との間で戦争が起きる、なんて噂もあるくらいです」
「こっちの人間ろくでもねぇ~。あまりかかわらんほうがいいか」
「そうですね。私たちは穏やかに暮らしたいだけなのに・・・」
寂しげにラピスがつぶやく。その悲しげな表情を見ていると
どうにかしてやりたい、という気持ちが湧いてくる。
「すいません、話の途中で。続けますね」
次にここが何処なのかを聞いてみた。見渡す限りのこの森は、
『妖精王の森』彼女たちを生み出した妖精全ての母が住む場所らしい。
他の種族からしてみれば、強力過ぎる魔物と自分の位置すら把握できない魔の樹海である。
だからこそ妖精達はここに結界を張り住んでいるそうだ。
王の加護により守られたこの森は、彼女たちにとっての聖域。
肝心の妖精王の居場所はほんの一握りの妖精しか知らないらしい。
ラピスは知っているようだが、さすがに教えてはくれなかった。
他にも色々聞いた所で、最も聞きたいことを聞くことにした。
「神龍ってのは、どういった存在なんだ?」
自分の事かもしれないので自然と力が籠る。
「龍族のことは、少し話しましたよね」
「ああ、ドラゴンやらワイバーンやら知性ある龍のことだっけ」
「はい、そのとおりです。普通の龍族でも一体一体がかなり強いものなのですが、
この世界にいる龍族の中で、特に別格の力を持つ『龍神』と呼ばれる個体が四体います。
炎を統べる炎龍神。水を司る水龍神。風を司る風龍神。大地を統べる地龍神。
全ての龍族の始祖といわれるのがこの四体です」
「龍神?神龍じゃなくて?」
「龍の神、すなわち龍族の中での神という意味でしょう。
実際他の龍族が束になっても、手も足も出ないそうですから」
文字通り神の如き強さってことか。あれ?それじゃ神龍は
「その四体を生み出した存在がいるそうです・・・
これに関しては直接聞いたので間違いありません」
・・・会ったことあるのかよ。なんかラピスも普通の妖精じゃなさそうだ。
「もしかして、それが」
「はい」
「地水火風の龍神達を生み出し、時間も空間も概念も支配して、
世界を創世したとされている存在・・・それが神の龍『神龍』です」
お読みいただきありがとうございます。
次回は何故彼女は気づいたのか?
次もよろしくお願いします。




