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機械戦士物語 ナイトクロード  作者: あいちゃん5歳
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序章

 15歳の男っていうのは、普通、なにをしているものなんだろうか?

 勉強だろうか。スポーツだろうか。それとも、恋愛だろうか。

 俺も15歳の健康な男子だけど、今は真っ黒な鎧を着て、顔も黒い兜で隠して、ギザギザのノコギリ刃がついた大きな剣を振りかぶって、敵と向かい合っている。

 普通の15歳なら、いや、普通の15歳じゃなくても、こんなことはしない。

 もしも、俺が英雄物語に出てくる主人公なら、悪い魔王を倒して、お姫様を救い出して、それでハッピーエンドのはずなんだけれども。

 あいにく、俺はヒーローなんかじゃなくて、中学校を卒業したばかりの、ただのガキだった。

 鎧に覆われた関節が、ギシギシと痛む。

 痛い。

 身につけている鎧はどこもかしこも傷だらけで、無事な場所なんて一つもない。

 痛みでふらついている俺の姿を見て、目の前にいる敵は勝利を確信したのか、冷たく笑った。

 笑ったって言っても、口の端がつり上がったわけじゃない。

 俺と斬り合いをしている相手も、俺と同じように全身を、紫の鎧兜で覆っていたから。

 でも、わかる。

 兜は表情を隠してしまうけれども、敵が手に持った剣は表情を表している。

 ボロボロになって死にかけている俺は、敵に嘲笑われていた。

 幾度となく切り刻まれ、崩れる寸前になった俺の体。

 ついに、砕けかけた膝が体重を支えきれなくなって、俺は床に片膝を着いた。

「これ以上は無駄だ」

 冷たい笑みを浮かべたままで、敵はそう言った。

 俺も、そう思う。

 体中、傷だらけだった。

 対して、敵には傷の一つもついちゃいない。

 勝ち目はすでになくなった。

 だが、剣はまだ俺の手の中にあって、俺はそれを離すわけにはいかなかった。

 剣を杖の代わりにして、砕けた膝から送られてくる激しい痛覚を無視して、俺は立ち上がる。

「死ぬつもりか」

 死ぬだろうな。

 そう思った。

 敵は強い。俺なんかよりも、ずっと強い。それは間違いない。

 それでも、俺には戦わなければならない理由があった。

 

 

 つるぎ太刀 いよいよ研ぐべし いにしえの

 清く背負いて 来しその故ぞ

 

 

 頭に浮かんだのは、昔、教わった歌。

 子供の頃、何度も口ずさんだ歌。


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