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SS短編集  作者: sirasagiri
5/6

SS⑤

 丁度、彼と一緒にいた時のことだった。

「痛っ!」

 チョコを食べている最中に、口内を噛んでしまい、痛みに目が潤んだ。

「どうした?」

 近くにいた彼が私の顔を覗き込んできた。

「噛んじゃった………」

「大丈夫か?」

「うん、大丈夫」

 彼はふと口元に笑みを浮かべた。

「ほんとに大丈夫か見てやるよ」

 なんだかその笑みに嫌な予感がして、私は首を横にふった。

「え、いいよ」

「遠慮するなって」

 けれど彼は、私の言葉を気にもせず、にじり寄ってくる。

「だからいいってば」

「ほら、口開けろよ」

 そして彼は、私の顎を掴み、口の中に人差し指を差し込んできた。

「ちょっ……!」

「噛んだのどっち?」

 私に問いかけながら、その指は優しく右側をなぞりあげ、それから左側に移り傷がないか探る。

「………っん……」

「ああ、腫れてんな。これだろ?」

 見つけた噛み傷を、彼は人差し指でくるくるとなぞり、わざと刺激を与えてくる。じわじわと傷が痛んだ。

「……やめ…ッ……」

 嫌がる私を見て、彼はにやにやと笑っている。

 彼の腕を掴んで押しやると、意外とあっさり指を抜いてくれた。そのことにほっとして息を吐き出した。

 彼は、私の口に差し込んだ人差し指をそのまま舐める。

「ちょっと何してるの!!」

「いや、甘いと思って」

「は!?」

「チョコ、食べてたもんな」

「だからって舐めないでよ!!」

「キス以上のこともしてんだから平気だろ?」

「キスと指を口の中触った指舐められるのは違うの!!」

「じゃあ指じゃなかったらいいんだな?」

「そういう問題じゃ……ッ!」

 後頭部に添えられた右手で引き寄せられて、口づけられた。すぐ口内に舌が割りいれられる。

 舌は上顎を撫でたあと、私の舌に絡めてきた。

「……ふ…ぁ………んうっ……」

 彼の胸板に両手を当て押し返そうとするが、空いている左手で体を抱き込まれ抵抗できなくなる。

 くちゅくちゅ…と水音が響く音と、息がうまくできなくて。それが心地よかった。

 少し唇が離れた瞬間に、彼がふっと笑った気がした。もっとしていたいと思ったのが分かったのだろうか。

「可愛い……」

 濡れたようなその艶めいた声にぞくりとして。次は自分から唇を重ねた。

 至近距離の彼の目を見上げると、彼の目は面白そうに私を見ていた。



途中で雰囲気に満足しちゃって進まなくなっちゃって、超短編だけど、SS集だから気にしない。

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