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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の苦心(決心)

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#7



鍋の水が沸騰すると、夕夏は手早くパスタを入れた。次いで塩を少量振る。


「ごめんな、暗い話して。今度はお前を俺の家に呼びたいんだけど、母親がいない理由を隠し続けんのもアレだからさ。でも今は弟も元気だから、気にしないで遊びにこいよ」

「……ありがと。やっぱ強いよ、お前は」


自分のことを弱いと称していたけど、人間としての芯の強さは彼の方がよっぽど上だと思う。だからかもしれない。初めて会った時から優しさが垣間見えて、本気で嫌いになることができなかった。

夕夏は、俺が知らない感情を経験している。俺が知らない辛さ、苦しみを何度も。


「さ、お待たせ。できたよ」


夕夏はよそったパスタにミートソースをかけた。それだけで美味しそうな匂いが周りに立ち篭める。さらにスープとサラダもついたので、もう充分な夕食だった。

「いただきまーす。……うん、美味い!」

パスタを一口食べて叫ぶと、夕夏は嬉しそうに笑った。

「いいなぁ、これ。新婚さんみたい」

「ははっ、そりゃ良かった。俺も楽しいよ……服は智紀の貸してもらっちゃったし」

「そりゃもちろん。寝巻きだから、明日までそれ着てろよ」


お茶を飲みながら、ホッとした気持ちで椅子にもたれ掛かる。

幸せだった。なんでもない時間なのに、本当に尊い宝物だ。

彼の存在が宝物。とか言ったらさすがにクサいし、このほんわかした空気が一瞬で凍結しそうだ。二度と俺達のもとに春は訪れない気がする。しようもないことを考えながら、食事を終えた。また皿洗いをし、二人で過ごす。友達が家に泊まりにきた、とはちょっと違う。


やっぱり恋人だから……抱き合った後も妙に緊張していた。


「夕夏、ゲームでもする?」

「あぁ……」

「何か他にしたいことでもある?」

夕夏のテンションがあまり高くないから、他の要望を訊いてみる。けど彼は特に何も言わず、俺の肩に寄りかかってきた。

「このままでいいよ」

「う、うん」

何だ……この可愛い恋人は。


「あ、ところで夕夏。今日は俺ん家に泊まるってお父さんに連絡した?」

「あぁ、大丈夫だよ。今日は適当に買って食べるって言ってた」

「何か申し訳ないなあ。お料理担当のお前を借り出しちゃって」

「はは、いいんだよ。弟もそろそろ飯ぐらい作れるようになってほしいし。それより、これからはお前の為に作りたい」




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