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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
転校生の快美

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#12



「不安?」

夕夏はさっきよりも大きな声で聞き返し、足を止める。そして振り返った。


「うん。お前がどっか行っちゃうんじゃないか、って不安」


思ってたことを率直に言うと、彼は少し驚いた顔を浮かべた。けどすぐに笑って、優しく呟く。

「どこも行かねえよ。お前がいない場所は怠すぎる」

「夕夏……。ありがとう。もう同じ大学に行こう」

「それは保証できない」

冷たく返されたけど、すでに感涙だ。夕夏が可愛い恋人に成長してくれたこと、その全てに感謝してすれ違う人全員と握手したい。

「何だよ、何を悩んでたの?」

「夕夏が皆と楽しそうに話してるところを見てたら怖くなったんだ。悪い意味でドキドキした。俺が入り込む余地はないっていうか、もしかして夕夏にもう俺は必要ないんじゃないのかな……みたいなことを思ってた」

……そう。そしてびっくりした。

夕夏に説明してるようで、俺は自分に自分の気持ちを説明していた。声に出して言葉にするうち、知らず知らずに自分の本当の気持ちを理解していった。


俺が不安に感じていたのはこれか……。


夕夏が変わったことに困惑したのではなく、彼に必要ない、と言われることを恐れていたんだ。依存とまではいかないと思うけど、実際のところはどうだろう。なんせ初めての恋人だから、何が正しいのかも分からない。

嫉妬も不安も、どこまでが平均値でどこからが異常値なのか……わかりやすいバロメーターがあればいいのに。

そして浅ましい、と思ってしまった。自分が恥ずかしい。夕夏を支えるって決めたのに、つまらない意地を張っている。

恋人の成長を見守ることは大事。でも置いてけぼりはちょっと寂しい。


「ごめん、俺らしくないよな。つまんないことで妬いてた。俺って元気だけが取り柄なのに」


しんみりした空気を早く払拭させたくて、明るく笑う。その直後、視界が黒い影で覆われる。驚いて声を出そうとしたけど、その口は強引に塞がれてしまった。

両腕も押さえられ、吹きかけられた熱い吐息を飲み込む。突然のことだけどすぐに分かった。これは間違いなく、キス。夕夏が、学校で……。


「ぁ……っ」


顔中が火照る。思考までも煮えそうだったけど、その一歩手前で彼は離れた。そして手を引き、暗い空き教室へと向かった。

「ど、どした?」

彼は特に反応せず、何故か扉を閉めた。不思議に思いながら見つめてるとさらに奥へ連れられ、壁に追いやられる。




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