表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
転校生の快美

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/99

#9



素の夕夏が良い子になったら……それこそ良いことがいっぱいだ。俺は彼と付き合いやすいし、友達とはもっと分かり合える。文化祭を前に、クラス全体の繋がりが強くなる。

でも無理してるようにしか見えない。夕夏がとびきりのスマイルで誰かと話してるところを見ても、安心どころか息苦しさを覚える。けど、だからといってできることは何も無く、ただ彼を見守っていた。


「夕夏が変だ。良い子すぎるよ……!」


文化祭前日、智紀は頭を抱えた。

日が暮れてもまだ多くの生徒がクラスに残り、準備作業に没頭している。照明を点けた教室は眩しいけど、窓の外の闇を見返すと丁度いいぐらいに感じた。

しかし気分は重い。恋人の変化に悩まされている智紀は文化祭どころではなく、教室の壁に頭を擦り付けていた。その横で、クラスメイトの弥栄が苦笑いを浮かべる。


「まーまー、いいじゃん。あの七瀬があんなに率先的にアイデア出して、皆と仲良くしてるんだよ。素直に喜んで、褒めたげようよ」

「俺もそう思う。夕夏がクラスに溶け込んでるこの光景は、もうずっと願っていたことだよ。なのに……理屈じゃないんだよな。夕夏が良い子なのが、もう不気味」

「七瀬って悪い子なの?」

「良い子だよ?」

「何なんだよ……」


呆れている弥栄に気付かず、智紀は口元を手で押さえる。そして教室の中心で友人達に囲まれている夕夏に視線を向けた。

「分かった。じゃあアレだな、智紀は寂しいんだ。手のかかる子どもが立派になって離れてった感じで、複雑なんだよ。つまり……保護者なんだ」

「保護者? 違う! 俺は……」

「俺は?」

弥栄が不思議そうに振り返る。恋人、と答えそうになった智紀は慌てて首を横に振った。


「俺は……夕夏の友達兼、愉快な仲間達のひとりだよ」

「どういうこと……?」


未だ怪訝な表情を浮かべる弥栄を残し、智紀は教室を後にした。

文化祭の準備を手伝わなきゃいけない。それなのに今は心の余裕がない。

廊下を渡る間、他の教室の前を通り過ぎる。どこもお祭り前夜というか、本当に楽しそうだった。

それもそうか。高校最後の文化祭、……良い思い出にしたいもんな。


窓から見える外は馬鹿に暗くて、校庭の様子もよく分からなかった。まだ十八時半とはいえ、夜の学校は不気味極まりない。

さっきから脈絡のないことばっか考えて、右往左往している。文化祭のこと、夕夏のこと……頭の中はそればっかりだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ