#3
「とにかく、冗談なんかじゃない。一方的な告白で、お前は、その……迷惑かもしれないけど」
これだけはハッキリ伝えなきゃいけない。だからちゃんと目を見て伝えた。夕夏の瞳は、探るような感じだったけど、気付けばいつかのように揺らいでいた。
「はあ……」
彼は息をつき、視線を落とす。額に手を当て、項垂れるように前に屈んだ。
「超くだらない話なんだけど」
これまた思いついた様に、彼は語り出した。
「今のお前と同じで男が好きな奴がさ。同じ部活の、好きだった男の先輩から告白されたんだ」
「ん? ……うん」
突如始まった話。加えて彼にしては歯切れの悪い説明に違和感を感じたけど、耳を傾ける。
「元々その先輩に片思いしてたこともあって、そいつは喜んでOKした。お世話になってたし、本当に優しかったから。でも」
「でも?」
「実は嘘で、カラダ目的だっつってね。その先輩と仲間が犯しにかかってきたわけ」
は?
上手く反応できず、固まってしまった。話は理解したが、感情が追いついてない。
「え? な、何で」
「さぁ。……でも嫌がらせの目的もあったんだろうな。後で聞いたら、前から嫉妬してたらしいから。一年生のくせに、そいつは部活で選抜チームに入ってたし」
なんだそりゃ……。
夕夏の話に、納得できる所と納得できない部分がある。
「それで、その後は?」
「あぁ。どうだったかな。でも何とか、その場は逃げたんだよな。でも学校は……部活を辞めても、逃げられなかったけど」
毎日毎日。
人前では嫌味を言われたり、人がいない所ではやっぱり襲われかけたり。
部活だけじゃない、教室でも居場所がなくなった。学校という場所で、とことん孤立していった。
────でも誰にも言えなかった。
「さすがに色々きて、ほとんど学校に行けない時期もあった。そうすると友達だと思ってた奴らも心配すんじゃなくて、軽蔑する様になってきてさ。授業サボるぐらいなら学校来んなっ、てなるんだ。つーか早く辞めれば? って。で、終わり。そんなつまんない話だよ」
「……え」
「もうメンタル弱いから、一回休んだんだ。すぐ復帰したけど。それから頑張って……勉強して勉強して……今は学年一位の生徒会長。つまりは俺の話なんだけど」
長々とごめん、と彼は短く笑った。




