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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の過去(未来)

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54/99

#9



今までも何度か掴んだ手首は細くて、力加減に戸惑う。というか、ダメだ。こんな顔させるつもりじゃなかったのに。

「夕夏」

唇に触れると、彼はビクッと身体を震わせた。


「俺が怖い?」

「そんな……わけ……」


途切れ途切れに零れる声は力なく震えている。目も合わせない。確実に彼は怯えていた。

やめなきゃ。ここでやめなきゃ大変なことになる。自分で作り出した状況とはいえ、これは本当にまずい。もう笑って済ませられるレベルを超えてるような。でも……。

それならそれでいいと思った。

笑えなくていいから、今だけ………。

この世界で一番、彼と近い場所にいたい。


気付けば一歩踏み出して、彼の唇を塞いでいた。


感じたことは特に無い。ひたすら“無”だ。頭が空っぽになってる。そして全てが止まった。今感じてる音も、光も、時間も、何もかもが。

とにかく、こんなのは初めての経験で……正直どうしたらいいのか分からなかった。


現実世界じゃ一秒。体感的には十秒。

夕夏にキスをした。


一歩退くときにイマイチ上手く足が上がらなくて、踵の引き摺る音が廊下に響いた。

「えーっと……」

そして覚悟はしてたけど、津波の様に押し寄せる羞恥心と後悔の念。


やっちまったー……!


泣きたいし逃げたくなるけど、ここは腹を括って彼に向き合わないといけない。そう思って、心の奥底に仕舞っていた言葉を引き出そうとした。が、

「夕夏!?」

力が抜けたようにその場に崩れ落ちる彼を、慌てて支える。

「おい、大丈夫か!?」

さっきまであんなに暑そうにしてたのに、触れた手はすごく冷たい。いつになく弱々しい彼の姿に心臓が止まりそうになる。

助けを呼ぼうにも周りに人はいない。思わず張り叫ぶように彼の名前を呼び続けると、いつもの人を小馬鹿にしたような笑いが聞こえた。


「……何泣きそうになってんだよ、バカ。ちょっと目眩しただけだって」




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