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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の過去(未来)

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#2



真弘はなにか気に入らないらしく、智紀のことを敵視していた。それは彼自身……いや、自分自身を否定されてるようで居心地がわるい。

胸の奥がチリチリと痛む。これはずっと昔に燃やした、良心の残灰。今さらこんなものを思い出した。

「変な勘違いすんな。智紀はただの……友達だよ」

そう面と向かって言うのは俺にとってかなりの試練だったけど、何とか言えた。けどそれすらも、真弘は見透かしたような顔で笑い飛ばす。


「ははっ! 前は友達なんか邪魔なだけだって豪語してたくせに。驚いたな。そんなに気に入ったんだ、あいつのこと」

「……っ」


本当にしつこい。ちょっとイライラしてきた頃、真弘の目つきが変わった。

悪戯を思いついた子どもみたいな眼で。


「でも本当はお前がゲイだって知ったら、須賀くんはどんな反応するだろうな。変わらず友達で、一緒にいたいとか言ってくれるかな?」


丁寧に積み上げた何かを、無残に崩されたような気分だった。不快だ。今すぐ彼の口を塞いでやりたい。

そう思ったのに、塞がれたのは自分の口だった。


「……っ!?」


つま先が一瞬宙に浮く。後ろに倒れそうだったけど、背中に回った手が身体を優しく抱き留めた。

その間、とめどない恐怖が募る。割れ物にそっと触れるような熱が唇を掠めて、そして離れた。

これは“キス”じゃない。そんな特別な行為じゃない。恐らく彼にとっては、ぐずる子どもを黙らしたいだけだ。意表を突いて、気を引きたいだけ。

今すぐ突き飛ばして怒鳴りたかったけど、迫りくる影が過去の記憶を呼び起こした。


伸ばされる手に、どす黒い影。

いつかの声が聞こえる。


────ねぇ。おいで、夕夏。


「……っ!」


息が止まった。自分に向けられる視線と言葉、それに上手く飽和する狂気を感じ取って。

─────楽しいことしよっか。

そう言って、歪んだ笑みを浮かべる。

「嫌、だ……っ」

複数の影は絶望の象徴。

“それ”は、忘れた時に現れる。


「夕夏?」

「いや、離せっ!!」


頭が真っ白になり、真弘を手加減なく前へ突き飛ばした。何も考えてなかったせいで俺は壁に背を打ち、真弘は後ろに倒れてしまった。頭を打たなかったのは不幸中の幸いだ。


「わ、わるい……」


慌てて彼に駆け寄り手を伸ばすけど、どこかから突きつけられる視線に気付いて止まった。




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