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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の過去(未来)

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46/55

#1



教室を出てゆっくり歩く。

この感覚は久しぶりだ。夕夏は深く息を吸う。

とても足取りが軽い。その理由は何となく分かっていた。あんな風に、誰かと笑って話をするのがすごく懐かしい。気軽に名前を呼んで、呼ばれる関係。以前は当たり前だったと思うけど、すっかり忘れていた。


─────こんなに楽しかったんだな。


「なに笑ってんの? 夕夏」


名前を呼ばれて、心臓が跳ね上がる。

前を見ると、よく見知った人物が立っていた。

「真弘……」

同じ生徒会の副会長。しかしいつもと違い、張り付いたような無表情で佇んでいる。


しかしそれとは別に、焦りを覚えた。

笑ってる?

顔に手を当ててみるものの、いまいち分からない。気まずさと格闘ささていると、真弘は静かに近付いて耳元で囁いた。

「ずいぶん楽しそうだったじゃん。たまたま、あの転校生と教室で話してるとこが見えたんだけど……何話してたのか、詳しく教えてよ」

柔らかくも鬱陶しい、蜘蛛の巣に引っ掛かったうな感覚だ。

「楽しそうに見えた? 気のせいだろ」

「そうか? じゃあ鏡で自分の顔見てみろよ。まだ笑ってるぞ」

「はぁ? そんなわけ……」

否定するけど、最悪なことに確信もないので顔をそらした。

「てか盗み見すんなよ。悪趣味」

「またまた。悪趣味はあっちの須賀君だろ? あんな大きな声で、お前と一緒にいたいとか叫ぶなんてさ」

聞かれていたか。

どこから聞いてたのか知らないけど、それはかなり痛い。上手い弁解を考えるために腕を組んで、視線を床に落とした。

「ちょっと見ない間にずいぶん熱い仲になったな。あれじゃお前、カップルが嫌いとか言えないぜ」

無人の廊下だからいいものの、他人に聞かれたら死にたくなるような内容だ。


「俺から見たら、お前らもそういう関係に見えたし」


第一、自分が聞きたくない。


「わかったよ、わかった……。もういいだろ、この話は」

「よくない。とりあえず、あいつ……須賀とはもう関わるなよ」


忠告じゃない。これはただの“命令”だ。


真弘はたまにこういうところがある。俺以上に自由主義で人付き合いが適当なくせに、変に過保護なとこが。

一年生からの付き合いだけど、これには全く慣れない。むしろ日が経つにつれて、どんどん酷くなってる気がした。




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