表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
生徒会長の報告(脅迫)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/46

#7



「今日はありがと、夕夏」


ジュースを飲みながら言うも、彼は無表情で頷くだけ。反応を期待してるわけじゃないんだけど、ちょっと疼く。

「なぁ、怒らないで聞いてほしいんだけど……俺といるの、いや?」

「え」

自分でも躊躇してしまうような質問だったけど、どうしても気になって怖々訊いてみた。


「猫といるときはともかく、他はあんまり楽しそうに見えなかったからさ。俺はお前といるの楽しかったけど、お前は違うのかなって……。強引に連れてきてめちゃくちゃ勝手だけど、あんまり無理はさせたくないから」


彼の笑顔が見たいけど、彼が苦痛に思うほど何かに付き合わせちゃいけない。それは本望じゃない。

だから少し距離を置くことも大事かな、なんて思った。以前なら絶対に離れないと決めていたけど、……ただでさえ彼は慎重に関わらないと逃げてしまいそうだから。

でも意外なことに夕夏は慌てて返事をした。


「待っ……楽し……いかは分かんないけど、少なくとも嫌じゃなかった!」


俺が先を歩いて、彼が立ち止まる。距離が空いたせいで、彼はけっこう大きい声で答えた。


「だから、迷惑じゃない。俺、しばらく誰かと遊ぶことなかったし、ずっと独りだったから。本当に楽しくても、何かよく分かんなくて」


夕夏は視線こそ外してるけど、真正面から向き合って不思議なカミングアウトをしている。

これもある意味告白だな。ちょっと一生懸命な感じが伝わってくるから面白い。

ていうか何だろ。段々と胸の中に熱いものが溢れていくこれは……。

「だから、その……っ」

でもこれ以上は可哀想な気がして、彼の方へ歩いた。

先へ繋げる言葉が見つからずに困ってる夕夏の頬を、軽くつねる。


「分かったよ、サンキュ。じゃあまた行こうな」

「……っ」


はにかんで言うと、夕夏は赤い顔のまま固まった。

「どうしたんだよ。また顔赤いけど、熱とかないよな?」

前髪をかきわけ額に手を当ててみる。熱いような、熱くないような。うーん、よく分からん。

「ひとりで帰れる?」

「あ、当たり前だろ」

「そっか。良かった」

気付けば駅に着き、もう別れの時間だ。


「寄り道しないで帰れよー。じゃあまた明日!」


手を高く上げて、大きく振る。彼は周りの目が気にして恥ずかしそうだったけど、最後は笑って手を振ってくれた。

あの笑顔は多分、苦笑に近い。

そう思ってもやっぱり嬉しかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ