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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
転校生の窮余

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28/55

#5



七瀬は落ち込んでる。何にショックを受けてるのか分からないけど、それだけは感じ取れた。

励ましにはならないだろうけど、素直に想いを吐き出すことにした。


「……来てくれて、正直、嬉しかったよ」


本当はそれを一番に伝えたかった。

でもテンパってしまったせいで言いそびれた。

彼がどういうつもりで乱入してきたのだとしても、助けられたのは事実だ。お礼だけはちゃんと伝えときたい。


「お前からも散々聞かされてたし、ゲイには耐性ついてきてると思ってたんだ。でも、さっきは正直焦った。部長だし、友達だし、抵抗すんのも躊躇しちゃって。でも変なとこ触られんのは絶対いやだったから……」

「触られた?」


七瀬は眉根を寄せ、こちらに身を乗り出してきた。

「あぁ、ちょっとだけな。もちろん服の上から。でもその時にお前が来てくれたから、何とかなったよ」

「それでももっと早くに来ればよかった」

苦い表情が、打って変わって苦しげに歪む。

とても、赤の他人の心配をするような顔には見えなかった。


「……怖かったろ」


細くて小さくて、短い言葉。

だけど今までの彼からは想像もつかない言葉だった。


あっれ……。

おまけに、こんな時に不謹慎だけど、ドキっとしてしまった。

「い、いや! 確かにびびったけど、もう大丈夫だって! 俺も男だから!」

プラス、ずっと膝に彼の内腿が当たってんのが気になる。別に構わない。嫌じゃないんだけど……何故かすんごく気になる。


「だからそんな、辛そうな顔すんなよ」


俺まで辛くなってくる。なんて、それもよく分からない。

けど七瀬には笑っててほしい。いつもみたいに険しい顔をするんじゃなくて、……俺が笑わせてやりたい。

彼の頭に手を置く。振り払われると思ったけど、案外しばらく大人しくしていた。


「……とりあえず、襲われなくて良かった」

「おう! お前のおかげだよ。ありがとな」


つい、嬉しくて前へ出る。したら彼とめちゃくちゃ顔が近くなってしまった。男にしては長い睫毛だと思ってるうちに、みるみる彼の顔が赤くなる。

「おい、七瀬? お前顔が真っ赤だぞ。熱でもある?」

「ない。それより近過ぎんだよ、離れろ!」

「離れろって、お前が俺の上に乗ってんだろ!」




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