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人の恋路を邪魔しちゃいけません。  作者: 七賀ごふん
転校生の窮余

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25/46

#2



智紀は動揺し、しばらくその場に佇んでいた。


頭を冷やそうと深呼吸をしてみたのだが、気持ちはそれほど変わらなかった。


「あ~……」


駄目だ。俺にも悪いところがあったのかもと考えたけど、やっぱりさっきの七瀬はムカつく。

このままじゃストレスで禿げる可能性があるので、何とか自分で自分を宥めた。


彼の態度に言葉。なにか急な事情ができたかもしれないし、気になる。

あいつこそ誰にも相談せず独りで溜め込みそうだし、心配だ。

本当はしつこく追いかけた方が良かったのかもな。……なんてことを思い始めていた。

でも追いかけた後どうしたらいいのか分からないから、いつも上手くいかない。


ここまで続けた部活を急に辞めるわけにはいかなくて、その日の放課後も行くことにした。


「須賀、喉渇かない? 自販機のとこ行こうよ」


無事に部活の練習が終わると、不田澤が話し掛けてきた。最近はもう毎日、この様に何かしらに誘われている。

智紀は上機嫌な不田澤と自販機がある校舎内まで戻った。道中、彼は淀みなく喋り続けていたけど。


「……それでさ、ふざけてくるからクラスの奴らほんとおかしくって!」

「へぇ……」


色々話してくれるところ悪いけど、話が頭に入ってこなかった。

七瀬は今、何しているのか。そればっかりだ。

「須賀、聞いてる?」

「あっ、ごめん! 何だっけ?」

駄目だ。また意識が別の方に……申し訳なく手を合わせると、強い力で引っ張られた。

「不田澤……?」

突然のことに反応できないでいると、誰も居ない教室に連れ込まれた。壁に押し付けられ、妙な所に彼の手が回っている。

「不田澤。ちょ、やめようぜ。くすぐったいから……っ」

これはもう、イヤな予感しかしない。それでも頑張って笑った。


「須賀はさ、こういうこと興味ないの?」

「ど、どういうこと?」

あくまでしらばっくれてると、とうとう手が脚の間をまさぐってきた。

「あ……っ!」

「そそる身体してるんだよ、須賀って。顔もタイプだし」

気のせいだと言い聞かせていたけど、今度ばかりは笑って流せない。確実に貞操の危機だ。


「ち、ちょっと……俺は無理だって!」


どんどん、手が良くない所に伸びていく。ベルトに手を掛けられた時は一気に鳥肌が立った。

怖い────!

その想いが爆発的に膨らんで、声にならない叫びを上げた。ただ一言、「助けて」と。

その直後に、不田澤の真後ろにあった椅子が勢いよく倒れた。うるさいぐらいの音が教室内に響き渡る。


何が起きたのかすぐには分からなかった。




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