#11
生徒達が下校し、校舎内は静まり返る。しかしある日の生徒会室は抑えきれない騒音がもれていた。
「す、すいません……! もうあいつとは別れますから!」
勢いよく開かれる扉。そこから悲痛な叫びを上げて、一人の男子生徒が部屋を飛び出した。
「根性ないな……」
部屋の中は荒れ果てている。さっきまでその男子生徒が倒れ込んでいたソファに、七瀬は腰を下ろした。
「結局、その程度の気持ちで付き合ってたってわけだよな。遊びだから、ちょっと脅されただけで簡単に従うんだよ」
苦笑しながら話す七瀬。その隣で、薄茶の髪をした少年が肘掛けに座った。
「ふーん。で、そのカップル狩りはお前のストレス解消か何かなの?」
飄々とした態度の彼は生徒会副会長、城崎真弘。七瀬と同じく端整な顔立ちだが、派手なアクセサリーが目立つ。
「キモい言い方すんなよ、真弘。まぁ強いて言えば粛清。それが学校の為で、ひいてはあいつらの為」
「そう思ってんのはお前だけだとしたら?」
「だとしても、関係ないかな」
辺りが静まり返る。七瀬が肘掛けを蹴る音だけが、一定のリズムで響いていた。
「こわいこわい。……でもそれ以前に、最近イライラしてるよなぁ、お前」
真弘はよっと身を乗り出して、横になっている七瀬の顔を覗き込んだ。
「そうそう、前に言ってた転校生君と最近ご無沙汰らしいな。それが原因?」
「はあっ!?」
真弘の言葉に驚いた彼は身体を起こし、持てる力の全てで否定した。
「それも関係ない! あいつは人のこと強引に振り回すんだぞ。サッカー部に入って忙しくなったから、関わらなくて済んで清々してるよ。頭良くて顔が良くて人気あってスポーツ万能なだけの人間だ」
「超絶褒めてるじゃん」
「褒めてない」
七瀬はむしゃくしゃした様子で部屋から出ていこうとしたが、真弘はため息混じりに付け加えた。
「分かった、褒めてないってことにしとくよ。それよか、その転校生君が入った……サッカー部。変な噂出てきてるけど。お前、知ってて入部させたの?」
その言葉の意味が分からず。七瀬は、すぐに踵を返して純に問い掛けた。
「噂? 何それ」




