#8
でも、どうせ怒りのせいで赤くなってるんだろう。深く考えるのはやめて彼から手を離した。
「あ~……!! お前がべたべた絡んでくるせいで、いつもの倍は声喋らなきゃいけないからマジで疲れる! おら、さっさとひとりで帰れ」
「つれないこと言うなよ、一緒に帰ろうぜ。それとも、お前はまだ帰んないの? ……カップルを捜すから」
「そうだよ、俺は色ボケ連中を血祭りに行かなきゃいけないから忙しいんだ」
この口ぶりでボランティアとか、親切心とか言ってるんだから驚愕する。
改めて、密かに決心した。
やはり人の恋路を邪魔する彼を野放しにはできない。
「お前が帰るなら俺も帰るよ。でもお前が帰らないなら、俺も帰らない。不安だもん」
「だから何が不安だっつーんだよ、お前には何の関係もないだろ。むしろ良い環境になってくはずだ。気持ち悪い会話が飛び交って、気持ち悪い視線を向けられることがなくなるんだから……!」
彼の口調が強まる。やや切羽詰まったような響きだ。彼自身に、明確な事件があったとしか思えない。
「誰かが抑止力にならないと……」
「オーケー、何か事情があるのは分かった。でも他にいくらでも解決策があるよ。何でも武力行使しないで、平和に解決しようぜ! 俺達ならできる!」
「何だよその根拠のない宣言……」




