#5
最初こそ同性のカップルにはびっくりしたけど、俺の順応性は高いみたいだ。もうゲイ擁護派に回っている。
というより、とにかくカップルを潰そうとしてる七瀬が気に入らないだけかもしれないけど。
「だからさ。何度も言ってるけど、人の恋愛より自分の好きな人見つけようぜ」
「余計なお世話だよ。何があろうとゲイのカップルは潰す。全力で邪魔して、引き裂いて、現実を見せる」
ふぁー。
「いちいち物騒なことゆーなよ。大体、ラブラブなところを邪魔されたらどんな温厚な奴でもキレるって。それこそ余計なお世話と思われるぞ」
「次、数学。お前、席順的に問題当たるぞ」
「マジで!?」
真面目に話してたのに、七瀬の言葉でそれまでの思考全て掻き消されてしまった。何故なら、俺は数学が一番苦手だから。
「ああぁあぁどうしよう、俺まだここの授業の進み具合分かんないのに……!」
「教えてやろうか。二度と俺のやることに口出ししないって約束したら、教えてやる」
彼の上から目線の物言いにムッとする。
「けっこうだよ! 俺はお前のしてることが正しいとは思えない。悪に屈するぐらいなら喜んでクラスの晒し者になるさ!」
「何だこいつ……」
実際、七瀬に頭を下げたらカップル潰しを容認したことになってしまう。それは駄目だ。
でも数学を思うと……あ~、憂鬱だ!
「痛っ!?」
頭を抱えていると、その頭を固い何かで叩かれた。見ると、それは一冊のノート。数学と書かれてある。
「この時間だけ貸してやる」
「えっ」
何で、って訊こうとした直後に先生が教室に入ってきた。皆一斉に着席し、俺も七瀬に突き飛ばされて自分の席に戻った。
ん?
でも、これがないとあいつもノート取れないよな……。
申し訳ないから今からでも返しに行こうとすると、彼は教科書の下でスマホゲームをしていた。
あれ。
この生徒会長あんまり真面目じゃないぞ。堂々とゲームしとる。
「じゃあこの問題を……須賀、解いてみて」
「あ、はいっ」
七瀬の予言通り先生に指されたから、慌ててノートを捲る。そこには綺麗な字で、とても分かりやすく回答が記入されていた。
細やか。
指でなぞって問題を探す。ノート通りに答えると、「正解」とだけ言われた。




