#1
翌朝、二日目の登校。
「須賀君、おはよー!」
「おはよう!」
校門をくぐってすぐ、智紀はクラスメイトに声を掛けられた。顔を覚えててくれただけでも有難いのに、声を掛けてくれるというのはかなり嬉しい。
朝からハッピーな気分になって、ふわふわ考えながら空を見上げた。そんな時、屋外の渡り廊下に人影があることに気が付いた。
結構見覚えのある、今俺の中で大問題の“彼”だ。
校内に入り、二階へと一段飛ばしで階段を上る。廊下へ躍り出ると、さっきより冷たい風が吹き抜けた。
けど彼の後ろ姿を見たら、そんなことも一瞬で忘れてしまった。
「よっ! 何やってんの?」
声をかけると、彼は徐に振り向いた。
この学校の生徒会長、七瀬。何故か今は望遠鏡を持っている。
「何だ、また……」
お前か、と言いたげな表情。とても素っ気ない態度で、彼はまた望遠鏡で下を眺め始めた。
「ここで毎朝、誰が誰と登校してるかチェックしてんだ。手を繋いで登校してる奴らがいたら、そのまま生徒会室にご案内コース」
「……」
朝から鳥肌が立った。
「つまり監視か。お前って実は暇で仕方ないの?」
「忙しいけどこの為なら睡眠時間も削れる」
つまりドMか。
こいつの執念は本もだと分かり、怖くなってきた。
「お前、俺なんかと喋ってる暇があんなら友達でもつくりに行けよ」
「それはおいおい……それよりお前も青春しようぜ」
こいつの青春って、いかに多くのカップルを別れさせるかで決まりそうだ。
そんなの誰も幸せにならない。
勿論、こいつも。
「……ってワケで教室行くぞ!」
「わっ、離せよ!」
嫌がると思ったから、腕を掴んで強引に七瀬を引きずった。
「他人のことばっか考えてないで、自分が楽しむことを考えろよ。その方が絶対良いぜ?」
「別に楽しみたいとか思わないし、学校なんか」
彼はブツブツ文句を言ってる。でも、そこは俺も言い返したい。
「楽しまなきゃ! 高校なんか俺ら今年で最後なんだよ?」
「……はいはい、そうですね!」
呆れてるのか面倒くさくなったのか、七瀬はもう抵抗はしなくなった。




