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第11話 要救助者は嘘つき?

ダンジョン内――



「なーんか魔物、増えてない?」


「確かに前回来た時よりも多いな。魔素も濃い。

このダンジョンは、最近あまり冒険者の出入りが少ないようだな。」


「まぁ、基本的には皆、もう一つのダンジョンがメインだからなぁ。

関係あるんだ?やっぱり。」


「魔物は絶えず誕生するが、冒険者がある程度行き来していれば討伐され、

また生まれ……と、バランスよく構築される。

だが、出入りが少ないダンジョンでは討伐されずに生き続ける魔物が増え、

魔素濃度も高くなり、さらに凶悪な魔物が誕生しやすくなるのだ。」


「ああ、なるほどね。だからさっきから見たことない魔物が多かったのかー。

早く精霊石見つけて帰ろうぜー。」



王廷治癒師から逃げるためにやってきたこのダンジョン。

やたらと魔物が多くて、俺は面倒ながらも討伐するしかなくてやっていたんだけど。

ラミンから「このダンジョンへの出入りが少ないせいで魔物が増えた」と聞かされて、うんざりした。


もっとこのダンジョンに足を運ぶ冒険者が増えたらいいけど、無理すれば死ぬ可能性もある。

そう思うと、ハルクさんにも「もっと冒険者を行かせた方がいい」とは言えなかった。



「気をつけねばならんぞ?」


「何が?」


「ダンジョン内の魔素が濃くなりすぎると、魔物が感化されて暴走する恐れがある。

そうなるとどうなるか、分かるな?」


「えっと――」


「もっと勉強せぬか。抑えが効かなくなった魔物は、確実にダンジョンから外に出てくる。

そうなると近くの村落、そして王都にも魔物襲来という面倒な事態になる。

さて、それを防ぐにはどうすれば良いのだ?」


「んー……暁の翼とシグナスがもっと頻繁にこのダンジョンに出入りする。」


「バカたれ!貴様がやるのだ、貴様が!

今までは向こうのダンジョンだったかもしれんが、

今日から貴様は毎日一度、このダンジョンに潜り、鍛錬を兼ねて見回りをせんか!」


「えー」


「えーじゃない!これは父親としての命令だ!周辺の町が襲われてもよいのか?」


「はぁ……その質問はずるいだろう!」



このダンジョンからの魔物流出を防ぐには、やっぱりSランク冒険者である暁の翼やシグナスにもっと出入りしてもらう必要があると思っていた。

なのに、ラミンは俺にその役目をやらせようと、お説教を始めた。

俺が嫌がるのを分かっていて、「町が襲われてもいいのか」と断れない状況に追い込んできた。

嫌だと言わせないように仕向けられたのは、言うまでもない。

こうして俺は、ラミンの思うがままに動かされる羽目になっていくのかと思うと、ちょっと腹が立つ。

でも、Sランク冒険者というのは多忙極まりないから、結局誰かがやらなきゃいけなくなるんだよなぁ……

そう思うと、もう諦めるしかないとも感じていた。



「はぁ……それにしても、5階まで来たけど、さすがに同じ場所に精霊石はないかぁ。」


「同じ場所にあるわけがなかろう。今日は10階層まで上がるぞ。しっかりせんか。」


「10階層……

普通はさ、そこまで行くのに3日くらいかけるんだよ?」


「他人の“普通”など知らぬ。

現に貴様は、ダンジョンに入ってものの数時間で5階層まで来たであろうが。」


「いやぁ、俺はさ、頭の中にこのダンジョンの地図が入ってるから。

効率よく動いてるだけっていうね?」


「効率よく――ではないわ。その脳みそがおかしいとは思わんのか?」



文句を言いながら魔物を討伐し続け、ようやく辿り着いた5階層。

だけど、都合よく精霊石が見つかるはずもなく、すでに帰りたくなってきていた。


そんな中、ラミンは俺のダンジョン踏破ペースが異常に早いことを指摘。

俺は「頭の中に地図があるから効率よく動けてるだけ」と言い返すと、

可愛らしいぬいぐるみの顔が、どこかおじいちゃんのような表情になり、深いため息を吐いた。

まるでドラゴンブレスのように。



「今まで何とも思わなかったけど……え?

あー!これも竜族の得意技だったとか?」


「そうだ。我々、竜には元々、“領域刻印”というスキルが備わっておる。」


「何その名前!」


「竜族の血がもたらす特殊な知覚能力だ。

視界に入れた空間の構造や微細な歪みまでを、一瞬で脳内に絶対的な地図として刻み込む。

ダンジョンや迷宮において、迷うことは絶対にない。

実際、これまでそうだったのではないのか?」


「まぁ、確かに俺は行ったことのある場所については、いろいろ把握してたけど。

それが原因だったなんて思いもしなかった。レベルが上がると身につくやつかと……」


「またそれか。まぁ、良い。とにかく貴様はそういう体だ。よく覚えておけ。」


「分かったよー。」



これまで生きてきて、空間を把握する能力は高い方だと思っていた。

でも、それがドラゴンの能力だなんて、誰が思うんだよって話だ。

誰だって、突然こういう能力に目覚めたら「レベルが上がったから習得した」と思うじゃん!

そう訴えたけど、ラミンは呆れたように「覚えておけ」と言って、またため息を吐いた。

何だか俺の知らないことだらけで、ついていけねぇな……

まぁ、何でもいいんだけど。そう思いながら、俺はダンジョンを進んでいった――









7階層――



「はぁ……もう疲れた!

なんなんだよこの魔物の数は!!ラミンも手伝ってよ!」


「それでは貴様の鍛錬にならぬだろうが!」


「なんでだよ!もう十分今日は鍛錬積んでますけど?!

何ならレベルも1上がりましたけど?!」


「フン、1上がったくらいで大きな顔をするな。

365が366になっただけだろうが。」


「最低ー!そういうのパワハラって言うんだぞ!!」


「何だその“パワなんとか”って。知らぬわ、たわけ!」


「はぁ……もう嫌!」



あれから順調に進み、7階層まで来ていた俺は、魔物の多さにとうとう弱音を吐いた。

そのたびにラミンに怒られ、パワハラだと訴えても「知らぬ」と切り捨てられる始末。

現代社会に適応できない古代竜め……!

なんて心の中で毒づきながら歩いていると、

やたら高価そうな鎧を着たヒューマンが倒れているのを見つけ、駆け寄りながら声を上げた。



「大丈夫ですか?!」



そう叫んでみたものの、反応はない。

意識がないのかと思い、鎧に手を伸ばした瞬間――

ブワッと黒いモヤが鎧から噴き出し、思わず手を引っ込めた。

毒ガスか?!

そう思って口と鼻を押さえながら様子をうかがっていると、

そのモヤは次第にヒューマンの形を取り始め、実体のない影でできた姿に、俺は唖然とした。



「魂……抜き取ったぞ、貴様…」


「え?いや、俺は触っただけだけど……?」



目の前に現れたのは、影でできた鎧騎士。

そのときラミンが「魂を抜き取った」と口にしたが、言っている意味がまるで分からない。

俺はただ、その影を見つめることしかできなかった。

すると、頭の中に突然、見知らぬ声が響き渡った。



【我が名はライオネル=イグニス=ウィンエバー。】


「は?」


【もう一度言う。我が名はライオネル=イグニス=ウィンエバー。

この国、ウィンエバー王国の初代国王の座に就いておった者。】


「いやいやいや……え?は?

ちょっとラミン!この鎧騎士、とんでもない嘘ついてる!!

なんで初代国王が鎧騎士のおばけになってんだよ?!」


「……」



影の鎧騎士が突然、この国の初代国王の名を名乗ったもんだから、

思わず「はっ?」となった俺は、

ラミンに「嘘つきがいる!」と訴えた。

普通さ、生身の人でももっとマシな嘘つくでしょうが?

なんで急に初代国王の名前が出てくるんだよ。コイツ、絶対ヤバいやつじゃん!


そう思っていると、ラミンはじっと黙ったまま。

さすがのラミンでも、この国の歴史までは知らないだろうし、初代国王の名前なんて分からないか。

そう思った矢先、ラミンが冷静に口を開いた。



「貴様……我の古の記憶にある初代国王か?

国の厄災から民を護るため、契約した火の精霊イグニスと共に、自らの命を捧げたという……」


【よく……知っておるな。

その事実は、我々王家の者にしか伝えられていないはず。

なぜ、ぬいぐるみの貴殿がそれを?】


「我は……古代竜、カムエル・ドラゴンだ。」


【カムエル・ドラゴン――

すると、竜族の竜か?】


「そうだ。そしてこの男は、竜族の末裔、オリオン・カムエルだ。」


【――なんと!

竜族が……まだこの地に存在していたのか?】


「いや、待って。

話がまったく見えないんですけど!」



ラミンは、この“嘘つき鎧騎士”に対して、俺の知らない話をし始めた。

そして鎧騎士も、それにきちんと答え、二人にしか分からない会話が繰り広げられていく。

まったくもって意味不明なんだけど……

俺は一体、何の話を聞かされているんだ?


そう思い、思わず会話に割って入ると、

いつもなら「何も知らんのか」と怒ってくるラミンが、

このときばかりは静かに、俺に語り始めた。


これまで知ることのなかった、この国の歴史と、この“人”のことを――……

いつも読んでくださってありがとうございます!


登場人物たちのキャラクター紹介ページを作りました。


まだ未完成ではありますが…


AIイラストと一緒に、物語の世界を少しでも感じていただけたら嬉しいです。






https://note.com/sorariaru_17/m/m8f8c24816dc4

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