朝礼
私が教室に入ると、教室内は異様な静けさに支配されていた。
「なんで……なんで……」
教室前方で生徒の人集りができている。
その中心にいたのは、明るい性格の東条ミキだった。
タカシ君とミキが付き合っているという風の噂は、今日のミキを見れば本当だったとすぐに分かった。
奇麗に整えた髪をぐしゃぐしゃに掴み、絶え間ない嗚咽を教室に響かせていた。
少しして担任が入ってきた。
担任の手と服は真っ赤な血で染まっている。
生徒たちの視線が、俯いたままの担任に刺さる。
ジジッという音とともに、また校内放送が入った。
「コダマビト……」
校内放送が入る前に担任が漏らした言葉を私は聞き逃さなかった。
「「今からテストを始めます。正解を選び、清き心に従って問題を解きましょう。……間違いの代償は、己の命」」
生徒たちは各々顔を見合わせる。
(テストって……)
「「制限時間は、72時間。全員が解き終わるまで帰ることはできません。清き心に従って。それでは、始め」」
ブツッという音がし、校内放送が切れた。
「どういうことだよ!!!!」
クラスメートの1人が机を叩いた。
しかし、担任は何も言わずに俯いている。
「間違いの代償は己の命……」
「間違えたら殺される……?」
「ここから出してくれ!!!なあ!!!」
「帰りたい……」
教室は阿鼻叫喚の様になる。パニックを起こした生徒たちは各々窓ガラスを叩いたり、泣き喚いていた。
私はただ座って状況を理解することしかできなかった。
「問題って、なんだろうね」
誰かに肩を叩かれ、私は振り返った。




