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今日も朝が来た。


私は重い目を擦りながら校門をくぐる。

中間テスト当日の中学校は、いつもと少し違った緊張感がある。


玄関に入ると、足場のすのこに生徒たちがワラワラと集っていた。中間テスト当日は朝部活もないため、いつもの倍ぐらいの生徒がいる。


中学校の玄関に響くピチャン、ピチャンという音も、このときの私は気に留めていなかった。


それぐらい、いつも通りの朝だった。


「……」 


それは、こちらをじっと見据えていた。

キャーッという女子の声が響いたと同時に、私は我に返る。


中学校にあるはずのないもの。

玄関に転がっていたのは、血塗れの死体だった。

目が剥き出しになり、爪を地面に突き立てている。

苦しみに悶絶したであろうその表情は生きている人のように私を吸い寄せる。


「タスケテ」と言っているかのようだった。


首や身体中、傷だらけの死体が誰なのかは間もなくして分かった。


「相原!!!」「タカシ!!!」


私が振り返ると、数人の男子生徒が崩れ落ちていた。

友達だったのだろう。足は震え、1人は吐き戻していた。


死んでいたのは、2年1組の相原タカシ君だった。


「……」


私はしばらくその場に立ち尽くしていた。


玄関には泣き叫ぶ声とともに、ピチャン、ピチャンという音が反響していた。タカシ君の血溜まりを、まだ何も知らない生徒たちが踏んだ音。


(気持ち悪い……)


少しして予鈴のチャイムが鳴った。

ジジッというノイズが入り、いつもの校内放送が入る。


「「皆さん、5分前行動です。席につきましょう」」


校内放送を入れたのは、2年生の学年主任だった。


「ふざけんな!頭イカれてるのか!」


タカシ君の友人が床を叩く。

叩いた手は彼の血でべっとりと染まった。


「「席につきましょう。テストを始めます」」


「……!!!」


生徒たちは顔を見合わせた。



少しして先生たちがやってきた。


1組の担任、2組の担任。そして私のクラスの担任。

身体を引きずりながら、ゆらりゆらりと歩みを進める。


そして、青白い顔と生気のない表情で、生徒たちと目線を合わせた。


「……」


(先生……)


先生たちはタカシ君の手足を掴む。


「待てよっ!!!」


タカシ君の友人が、1組の担任の手を掴んだ。

1組の担任は、友人の生徒をゆらりと睨む。


担任の目はよく見ると血走っていた。


「なんでなにも言わないんだよ!!!」

「……」

「おかしいだろ!!!!」


私はただその場面を見ているしかなかった。


「ナ…ニ…ガ…オカシイ……」


2組の担任が言葉を放つ。


「だって、、、」


友人が目を向けた先は、血塗れで苦悶の表情を浮かべるタカシ君の亡骸だ。


友人の目には涙が浮かんでいる。


「行きましょう」


私の担任が2人に問いかける。1組と2組の担任は、力もなく頷いた。3人の教員は生徒の亡骸を引き摺っていった。



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