表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/32

勝った気に


 そうだ。四日前には、この黒猫もあの場にいた。


「・・・ダイキチさんとこなんだけどよ・・・」



『 あのお屋敷がどうした? 』

 黒猫は前足の毛をなめるのをやめ、顔をあげた。



「いや。《お屋敷》が、どうとかじゃなくて、 まあ、ほら、あのふたりの・・・・その、この先が、どういうことになるかとか、まあ、あれよ・・・」

 ここでへたに赤ん坊のことをくちにしたら、乾物屋のことだからきっと、きいてもいないふたりの『夜』の事について、ことこまかにヒコイチにきかせてくるだろう。



 ―― いや、まてよ・・・


 そうだ。もしあのふたりにこどもができたとしたら、この黒猫が黙ってなどいられるか?


 それこそ、きいてもいないのに、ふたりの『床』について、のぞきみしてきたかのように、ことこまかく・・・・


 ―― ってエ、ことは・・・


 おもわず、にやりとくちがゆるむ。


 黒猫は金色の眼玉をヒコイチにむけ、こいつはなにを言いだしたのか、というような顔をしている。


「 そうか。ってエことは、おめえも知らされていねえんだな」



 『 なにをだよ 』


 ふだん、なんでもお見通しのような《乾物屋》が知らないというだけで、してもいない勝負に勝ったような気になる。


「いいか、聞いて驚けよ。 ダイキチさんと『先生』なんだけどよ、 ―― 」


 









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ