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桐箱の布団に客をむかえるはなし  作者: ぽすしち
 五

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25/32

山へかえす



  ―― ひげ



 突然、ヒコイチのあたまに言葉がうかぶ。


 まえに、西堀の隠居のところへ正月によばれたとき、息子のセイイチが料理屋に頼んだという、船のかたちの器にもられた生きづくりの刺身に、ヒコイチがみたこともない大きな海老エビがいて、そのエビにある《ひげ》をおもいだした。



 だがよ、ありゃあ、・・・こんな貝がつくようなもんじゃアねえだろう・・・


 『ひげ』はヒコイチからはなれると、アンマが杖でさぐるようにむこうへとむかい、ひっくりかえったままの大きな獣にあたり、腹のあたりをさぐると、貝の中からまた男の声が、「うむ」として、『ひげ』が、すうっ、と貝殻の隙間へひきさがった。



「 これは、アンコウの親父殿にまかせたほうがよかろうて 」

「 いや。山のアヤカシなぞ、親父殿も喰わんじゃろう 」

「 もとは狸じゃろう?ここの山神やまがみはなにしておるんじゃ 」

「 竜王様に献上してみるか?いまどき山でも珍しき者じゃろう 」


 こそこそと、なにやら貝の中で話し合う声がもれでてきた。


 しばらくそれがつづいたが、「そうじゃそうじゃ」とうなずきあうような声ばかりになると、またしても『ひげ』が、すうっとでてきた。



「 それならば、これは、山へとかえそうぞ 」


  ひゅっ



 風をきるおとをたて『ひげ』が振られて、かるく当たったかにみえた《ムジナ》のからだが、指ではじいた豆のようにちいさくなって山へととんできえた。





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