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お題シリーズ6

絵画の汚れ

作者: リィズ・ブランディシュカ



 休日、暇だろ?


 金曜日、田舎のじいちゃんからそう電話が入った。


 なんでも、週末に大掃除を行うらしい。


 だから人手が欲しいとか。


 不本意な事に、その日は予定がなかったから、しぶしぶ手伝いに向かう事にした。


 たまにはそういうのもいいかなって、何となく思ったのと。


 まあ、お小遣い目当てっていうのもあるかな。





 古びたおじいちゃんの家は百年以上前から建っている。


 武士とか鎧とか、合戦とか、そんな感じの時代からあったそうだ。


 でも、それだけ昔からあると、あちこち痛んでしまう。


 だから、きちんと手入れしないとすぐに大変な事になる。


 俺は、そんな大掃除の日におじいちゃんの家の蔵を掃除する事になったから大変だ。


 はぁ、あの蔵、広いから大変なんだよな。


 子供の頃、かくれんぼしてもあまるような広さがあった。


 一日まるまる潰れてしまうだろう。


 でも、お小遣いのためだ。


 がまんがまん。






 ほこりっぽい空気の中、我慢して掃除をすすめていた。


 そしたら家の蔵から、一枚の絵画が出てきた。


 有名な画家の画風に似ていたから、もしやと思っておじいちゃんと相談した結果、鑑定に出す事にした。


 高い値がついたらどうしようとか。


 鑑定結果がでてないのに、あれこれ家族や親せきで盛り上がった。


 どうせ偽物だろうけど、こういうのは思い出としては楽しい。


 けれどあの絵画、長い間眠っていたせいで、酷く汚れていてみすぼらしい。


 偽物でも、値が付くなら、できるだけ高値をつけてもらうために綺麗にしておこうかな。


 絵画の裏にあるこの落書きみたいな汚れもふき落としておこう。






 そうして鑑定を頼んだ数日後。


 その結果が出た。


 わざわざ家にやってきてくれた鑑定士は、一つ頷いて結論を述べてきた。


「どうでしたか鑑定結果は」

「偽物ですね」

「なんだぁ、がっかり」

「本物なら、絵画の裏にサインがあるんですけど、それがなかったので」



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