1話:少年と砂漠であった中年商人
水を渡した後、少年は立ち上がり近くで火をくべ鍋を温め始めた。
中年男性は少年に座っているよう言われ、砂漠を歩いた疲れても残っていたため、飴玉を舐めながらその光景を眺めていた。
中年男性から見て、どこから木製を集めたのか、どうやって火をつけたのかよくわからなかった。気づけば火がくべられていたのである。
そして、よくわからなかったがゆえに中年男性は特に詮索もしなかった。
中年男性が飴を食べ終え、水を飲んだ頃、少年はどこからか木製の皿、銀のスプーンを2セット持って近付いてきた。
少年はそのうち1つを中年男性に差し出した。
「ぼくの特製の甘口カレーあげる!」
木製の皿に入っていたのはカレーライスだった。
中年男性はお礼を言いカレーライスを受け取る。
カレーライスを受け取り、そちらに目を向けている一瞬に、少年の手に水の入った木製のコップがあり、それも中年男性に差し出していた。
中年男性の横にあった、先ほど飲み干したコップがなくなっている。
中年男性は一瞬で水の入ったコップが出てきたことに少し驚きながらそれを受け取り、またお礼を言った。
少年は笑顔を返し、先ほど座っていた岩に戻り座り直す。
「食べます!」
少年は、宣言のような食事の挨拶をしてカレーライスを頬張り始めた。
「食べます」
中年男性は無神教で、普段食事に対して敬意を払うことはないのだが、少年をまねて宣言のような食事の挨拶をし、食べ始める。
甘口だからか、とてもとても優しい味がした。
妄想ポイント:「食べます」宣言をしている少年
カレーライスの隠し味は りんご味の飴です。
少年は福神漬けを好みません。
福神漬けがあったら、避けて食べ、皿に綺麗に残すタイプの少年です。
環境・食べ物にもよって木製か銀製(鉄製)かこだわりたい作者です。