第１話 ファストタウン（３） ――とあるギルドチャットにて
――MakeO.S.とあるギルドチャットにて
Player：ルユ
ごめん、お待たせ！
Player：トウカ
あ、戻って来ましたね
Player：クロ
おせぇぞー
Player：ルユ
ごめんごめん
あれ、２人だけ？
ルギは？
Player：トウカ
急用ができてしばらくログイン出来ないそうです
Player：ルユ
まじかー……
Player：クロ
そういえばお前は何で遅れたんだ？
いつもは時間通りか早いくらいなのに
Player：ルユ
あー、ちょっと初心者で困っている人が居たから人助け
Player：クロ
へー、珍しいな。お前がそんなんで声かけるなんて
Player：ルユ
大分困ってそうだったのと、知り合いに似てたからちょっとね
Player：トウカ
誰？
Player：ルユ
ほら、黒崎奏さん。
Player：クロ
あー
Player：トウカ
高等部の？
Player：ルユ
そうそう
Player：クロ
まさか、初期アバターだったのか？
Player：ルユ
ううん、髪は白銀で長かったし、肌も白いかった。
Player：クロ
それ本当に黒崎さんかよｗ
Player：ルユ
さぁ？ 私も似てると思っただけで黒崎さん本人だなんて言ってないよｗ
Player：クロ
その特徴でどこが似てると思ったんだ……ｗ
Player：ルユ
なんというか……面影？っぽいのがあったんだよね
見ればわかると思う
Player：トウカ
それで、その奏さんっぽい人は何を困っていたの？
Player：ルユ
アイコンやメニューの開き方
Player：クロ
は？
Player：トウカ
あ、私みたいに説明書読まないで始めちゃったのかな？
Player：ルユ
そうそう、此処にも同じ事やっている人が……って驚いちゃったｗ
Player：クロ
やる奴はやるんだな……
Player：トウカ
ほら、私以外にも居たじゃないですか！
貴方達みたいなゲーマーには常識でも、わからない人は居るんですよ！
Player：クロ
まぁ、そう言っているお前も、今じゃこっち側だけどなｗ
Player：ルユ
それに、彼女はちゃんと今から情報をネットで集めてくるそうだよー？
Player：トウカ
うっ……
Player：クロ
でも、その話を聞く限りじゃ、初期設定もちゃんとやれているか怪しいな
初期武器は何を選んでいたんだ？
……ルユ？
Player：ルユ
今言われて気付いた。
そういえばあの子、何も武器を持ってなかった。
Player：トウカ
え？
Player：クロ
な訳無いだろ、初心者なら必ず初期の武器を持っているはずだろ
Player：ルユ
いや、手ぶらで装備は初期装備、鞄類も持っていなかった
まさか、素手選んじゃった？
Player：クロ
ありえねぇだろ、初心者何だろ？
Player：トウカ
武器売り払っちゃったとか
Player：ルユ
いや、そっちの方が無いと思う
だって、それならNPCのアイコンにも気付くはずでしょ
まだ、手を滑らせて偶然発見する可能性の方が高い
Player：クロ
って事は……
Player：トウカ
彼女今頃……
Player：ルユ
多分……、そうじゃないかなー
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――黒崎奏の家、その一室
どこかのギルドで話題の種になっている、奏本人はどうしているかというと……。
「やってしまった……色々と」
机に突っ伏して項垂れていた。
