閑話 ――ポーション事情(後編)
「それじゃあ、次の準備をしないとですね」
ポーションの調合を終えた私は次の製作物に取り掛かる。
兄から頼まれた物はポーションの他に回復結晶の製作も頼まれている。
こちらの生産難易度はポーションの比では無いので、入念な準備をした上で全て手作業で作らなければならないのだ。
必要な機材を用意し、調合台では無く専用の作業設備に着く。
「よいしょっと……」
製作材料を並べて、製作用の装備に着替える。
そして照明装置を点け、高さなどの調節が可能である魔導椅子を起動させてと、専用設備を順当に全て起動していく。
専用設備を全て起動した後は製作結果をより良いものにし易くする、そこそこ貴重な出力強化アイテムを機材に使用した。
製作にはDEXも関係しているので、ステータスパラメータ調整用のエンチャントアイテムも飲み欲し、いよいよ作業へと取り掛かる。
「それじゃあ…………始めるとしますか」
そうして私はいつものRPは諦め、今だけは集中して作業をし始めた。
結晶アイテムは砕くだけで使用できる為かなり便利で強力だけれど、一部例外はあれど総じてコストも生産難易度も高い。
全て手作業で行えば成功率も評価もかなり良い物になるとは言ったけれど、それは正しい手順で出来ることが前提だ。
製作手順が複雑な、高難易度の製作物ともなると手作業で作業を行っていても失敗は珍しくないので手は抜けない。
結晶アイテムで言えば僅かに込める魔力を間違えただけで成功率が10%増減するぐらいデリケートなのだ。
だから私は極限まで集中して作業を始める。
正八面体の容器に、細い棒の様な機材を使って魔力を少しずつ込めながら紋様を刻んでいく。
魔力の操作はある程度意識すれば感知可能になる。
感覚的には魔力を込めるのも力を込めるのと同じ要領だと思う。
ただし、【魔力操作】などのパッシブスキルの影響をもろに受ける為、動かしやすさはスキルに依存しやすい気がする。
紋様を刻み終わったら上から1:9の位置で切断して次は中に詰める液体。
これはポーション製作と同じ要領で作れるので、モンスターや鉱石系の素材を加工していけば良いだけだ。
そうしてできた液体に機材で魔力を通しながら正八面体の結晶容器に注いでいく。
因みにこの注ぐ量も魔力の通し方も一歩間違えれば一気に失敗確定コースになりかねないので気は抜けない。
容器に注ぎ終えたら切断した蓋を溶接、刻み込んだ紋である魔力回路に魔力を流し込んだら完了だ。
尚、最後の作業まで加減を間違えれば以下略。
「よし……」
私はポーションの調合の時とは違い過ぎる冷たい声を発しながら完成品を眺める。
完成したのは麻痺の回復結晶、評価ランクは通常の物と比較すると効果範囲は+80%、持続時間も+100%と中々良い出来だ。
「…………この調子で行けば良さそうですかね! それじゃあ!」
そうして私は後数十個はある製作待ちの材料達を見る。
「…………どんどん行くとしますか」
端から見れば明らかにテンションの上げ下げがおかしいだろうという事に私は気づかず、どんどん生産を続けていくのだった。




