閑話 ――オシャレ装備
もはや時系列不明、とある日の事です!
とある日のこと
「そういえば貴方達って、いっつも同じ服着てるわよね」
唐突にそう言ったのはウキナである。
今日は特に予定も無く、ウキナの家で歓談中だ。
「まぁ、そうだね。この装備になってからずっとこれかこれしか装備してないかもしれない」
そう言ってルユはいつもの銀に蒼の刺繍が入った鎧装備と今の冒険者スタイルの装備を指す。
たしかに本人の言う通り、私もルユの格好はその2つの装備以外を見たことが無い。
「俺もずっとこの装備のままだな」
「僕もですね」
「私もです」
そう言ってクロ、ルギ君、トウカちゃんは自身の今着ている装備を指す。
3人はルユと違ってコートやロープなので何処へ行っても同じ格好らしい。
「カナはー……、それ手に入れてからずっと着ているわよね……」
「うん、そういえばずっと着っぱなしかな……」
私もユニーク装備を手に入れてから同じ服を着続けているので人の事は言えない。
装備の封印が1段階解かれた時に装備可能Lv.が上がり脱げなくなった時期もあったけれど、結局困ることは無かったのでそういうことだろう。
後、何気にデザインもカッコ可愛いので気に入ってもいるのが原因の1つだろう。
「はぁ……皆駄目ね。こういうときこそ色んな服を着てみれば良いのに……」
「そういうお前はどうなんだ?」
「ウキナも、いつものユニーク装備とその部屋着以外着ている所見たこと無いよ?」
「あら私? 私はちゃんと色んな種類の服持っているわよ」
そう言ってウキナはストレージを操作して色んな服に早着替えする。
「わぁっ……」
ゴシックにクラシック、姫、頭巾、巫女など色々だ。
中には荒廃した近未来系の世界観にありそうな分厚いコートみたいな物まである。
「何か全部大きくない?」
そのルユの言葉でウキナの早着替えは止まった。
たしかにウキナが今着ていた物は全部少しずつ大きく、どうしてもロリータファッションっぽくなっていた。
そう言えば、ユニーク装備もウキナに対してサイズが大きかった気がする。
このゲームは装備者に合わせてサイズの自動調節機能もあるはずなのにどうしてだろうか?
「それは姉さんが見栄張って現実の身長と同じにしているのに、装備の身長設定を毎回弄るか……ら!?」
ウキナはルギ君が言い終わる前に鬼のような速さで鎌を抜いて彼の首筋に当てる。
「ルギ、余計な事は言っちゃ駄目だよ?」
「ワカリマシタオネエサマ……」
家の中なのでダメージ判定は無いはずだけれど、今の動きはそんなものは関係無いと言わんばかりだっただろう……。
取り敢えず巫女服姿で鎌を構えるのは辞めよう……?
■
「それで話は逸れたけれど男はともかく、女性陣は着替えてみない?」
落ち着いたウキナが仕切り直してそんな提案をする。
「たしかに、ちょっと興味はあるかも……」
「私も久しぶりに色んな服着てみたいです」
「それじゃあ決まりね! 色々用意してくるから男共は待ってなさい!」
「おう、俺達は待ってるわ」
「姉さん、余り先輩達を着せ替え人形にして遊ばないでくださいね」
「わかってるわよ~!」
「行ってらっしゃーい」
っと、ここでウキナの動きが止まった。
そうしてルユの方向にすぐ振り返る。
「何言ってるのよルユ。あんたも来るのよ?」
「え? さっき男はともかくって……」
「あんたは勿論女扱いよ。さっさと来なさい」
「えー、ってちょっと、引っ張らなくてもっ……ああ、わかったよ。行くから腕を引っ張らないで!」
そうして数分後……。
「やっぱり、トウカちゃんにはシスター系の衣装が似合うわね」
「そうですかね……、ちょっと着たこと無いタイプの服なので少し恥ずかしいですが……」
「ううん、トウカちゃん凄く似合っているよ! 凄く可愛い!」
本当に可愛い。
トウカちゃんはシスターに霊媒師を掛け合わせた様な衣装を着ていた。
ベースはシスター服なんだけれど、袖が長くてヒラヒラしているやつ。
いつものピンクローブとは違い、黒の服なのだがかえってピンクの髪が映えて良いだろう。
「ありがとうございます。カナさんもとても可愛い……というかカッコ良いですよ!」
「そうかな? 私もこれ結構恥ずかしいんだけれどそれなら良かったのかな?」
私も何回かウキナによって着せ替えられていたが最終的に男性組にも見せる装備はコレに決まった。
黒のカチューシャに紫のブレスレット、黒の前が開いたスカート付きドレスにブーツ。
腕部分はヒラヒラで肩や足は素肌が見える状態だ。
私がもう少しファッションに詳しければもっと詳細に表現出来たと思うが私にはこれが限界である。
我ながら表現力が乏しいと思う。
「カナのはまるで闇墜ち姫様ね」
「それは良かったのかなー……?」
このためだけに髪型もわざわざ縛り直させられたので良かったと思いたい。
「それで……ルユは?」
「ふふふ、あの子のは貴方達にも内緒。それじゃあ、向こうにお披露目と行きましょ」
「そっかー」
「ちょっとお兄ちゃんの色んな姿も見てみたかったですね」
私も正直同意見だったが、この方がサプライズとしての効果が大きいのは確かだろう。
こういうときのウキナが普通の服を選んだはずもないので、私は楽しみにしながら一足先にクロとルギ君に今の姿を見せる。
「おお、結構ガラッとイメージ変わるもんだな」
「2人とも似合ってます」
概ね好評ではあったが、ここでウキナから最後にルユのお披露目があると発表される。
私達にも隠していたと聞いた、クロとルギ君は結構面白そうに期待していた。
そうしてお披露目されたルユのオシャレ姿……。
「……っく」
「……っっ」
ドテッ!(誰かが転んだ音)
「え……っと、ルユ?」
「そうだけれど、なに?」
ルユの姿にクロとルギ君は笑いをこらえ、トウカちゃんに至っては部屋から走り出してしまった。
「ぶはっ!?」
「すみませんルユさん……、ちょっと僕も耐えきれないです……っ」
そう言って、2人は笑い出してしまった。
「……ちょっとウキナ、流石にこれは恥ずかしいんだけれど」
「ええー、大成功でしょこれ?」
そのルユの姿はファンタジーな可愛らしい服……ではなく、まさかのセーラー服だった。
ただし、デザインはうちの学校に寄せた物で、髪型などもわざわざそれっぽく整えられ、手提げの鞄まで持たせる、周到っぷりだ。
ある意味、私達にとって一番女の子らしさを実感させる服装だろう。
「あー、うん……ルユ?」
「何?」
「大丈夫、凄く可愛いし、似合っているよ!」
私の言葉にルユは視線を逸らしてしまった。
「それじゃ困るんだけどなー……まぁ、いいか」
「え?」
ルユのボソッと言った言葉は聞き取れず、私は尋ね返してしまう。
「ううん、何でも無い、ありがとうカナ。取り敢えず私は着替えてくるよ。幾ら可愛いって言われても流石に恥ずい」
「あ、そっか、ごめんね!」
ようやく自分の勘違いに気付いて慌てる私に、ルユは苦笑いしながらも手を振り替えしてくれた。
そうしてこの日は少し、イメチェンの雰囲気を楽しみながら過ごし終えたのだった。
ルユがウキナの暴走によって次の服装に着替えさせられたりと、その後も色々あったが楽しい一日ではあったと思う。
尚、トウカちゃんはリアルで今日のことを、ルユもとい優冴君が制服を着る度に思い出してしまい、色々大変だったらしい。
コレ書いてて本編進まなかったという本末転倒事態




