プロローグ 第0話 初期設定完了
今回登場するペインシステムですが、現状グロ表現などにはならない為、苦手な方もご安心ください。
多少のシリアス描写やコメディ描写に使われるのみです。
初期装備の設定も終わり、初期設定で行う事はあと僅かになったはずだ。
「次で最後になります」
目の前に新たなパネルが幾つか開かれる。
「今までの設定項目の最終確認も合わせて行います」
幾つか開かれたパネルにはプレイヤーネームの確認、アバタープレビューと確認、初期装備の……と、今まで設定した各項目がまとめられていた。
「新たな設定項目は枠が白く点滅しているパネルのみとなります」
「このパネルかな」
その新たな設定項目を一つ一つ確認していくと、サウンド調整や色覚サポートなど大半のプレイヤーがデフォルトのままで問題なさそうな項目が並んでいた。
しかし、一番下の項目だけは大きめな枠が取られ、如何にも重要な雰囲気をかもしだしていた。
「ペインシンクロ率? なんだろう、これ? これだけ、聞き覚えが無いシステムだけれど」
デフォルトの設定では30%となっている。
「そちらはゲーム内で感じる痛みや感覚に関する項目になっております」
「え、それなら痛いのは嫌だし、0まで下げようかな」
「五感に関する部分でもあるので0にするのはオススメしません」
「あ、ゲーム内での飲食とかが、何も感じられなくなっちゃうのか……」
それは嫌だな……と、カナは考える。
「尚、この空間では限定的に10%の設定になっております。ご参考にしてください」
「そっか」
通りで此処では感覚がかなり薄い訳だ。
今の状態からして、100%で現実と同じ感覚になるのだろうか……?
「痛みにはステータスによる緩和がある他、ペインシンクロ率は後ほどでもBPを消費しますが変更を加える事ができます。又、最新の技術により実際の肉体への負荷は全くかかりませんのでお気になさらず」
「うーん……それなら、大丈夫かな」
そう言ってカナはペインシンクロ率を100%に設定するのだった。
ステータスで痛みが緩和されるなら最大数値でも構わないだろうと考えたのだ。
現実の肉体に負荷がかからないのであればそこまで酷いことにはならないだろうし、思ったより痛ければ後で数値を下げれば良い。
そしてどうせなら、現実と同じ感覚でファンタジー世界の娯楽を体験したかったのだ。
要するに痛みによる恐怖より、好奇心が勝ったのである。
カナはそこまで考えてから設定を終えると、もう一度全ての項目を確認し最終決定する。
「……以上で初期設定は全て完了となります」
アナウンスがそう言い終えると、パネルは全て閉じ、見えていた広大な景色も真っ暗な空間へと写り変わる。
「これより転送を開始します」
(いよいよだ……)
足下から、真っ白な光が溢れ出る。
「転送先はファストタウン広場前です。では、貴方の紡ぐ良いストーリーを――」
カナが目を閉じ、次に目を開いた時にはもう街の広場であった。