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第11話 古代光炎竜・ラシュロン(3) ――突破口

 竜の膨大なエネルギーにステージ全体が震える。


 竜の第2形態は一切移動をしない代わりに範囲はステージ全体、威力も特大、回避難易度は極悪レベル、という自傷ダメージ有りの無差別攻撃をしばらく繰り返すというものだった。


 以前挑んだとき、ルユ達のパーティはステータス的に耐久しきれず突破不可能という結論。


 ウキナの場合、数秒間なら持ちこたえられるものの回避スキルを使い切れば被弾必死。


 魔王は唯一耐え切る事ができ、自傷ダメージによる自滅を狙った突破が可能であったが、次の第3形態、下手をすれば第1形態でも猛攻には耐えきれない為、攻略を断念せざるを得なかった。


 そして今回の合同パーティでも、このままでは魔王だけが生き残るルートになってしまい、結果は同じ結末を迎えてしまうだろう。


 蘇生アイテムも使用する暇は無い。


 そこでルユ達が取った作戦は……。


「【ノミット・ブラスタ】」


 至ってシンプル、攻撃を受ける前に削り切るというものだった。


 正確には第2形態に入った瞬間、第3形態となるHPまで削り切るというものだ。


 勿論、言葉で言うほど簡単なことでは無い。


 その為に、開幕から魔王は【ノミット・ブラスタ】の魔力を込め続け、この瞬間まで威力を高め続けていた。


 それを今、ここで放つ。


「……これが僕の最大火力だ。時間もピッタリ、威力の上昇限界値ギリギリだよ!」


 ずっと展開され続けていた竜に向けられた魔法陣は、光を伴って魔砲を撃った。

 極太のレーザーの様な魔法が竜に直撃する。


「【無尽の歯車】!」


「【極魔銀の蒼爆】!」


「【断閃】!」


 クロとルギ、ルユは更に遠距離の最高火力技を放ち、追撃をかけた。


 幾つもの歯車と強大な魔力爆発、一振りの強力な一閃が竜を襲う。


 それでも竜に蓄えられたエネルギーは霧散しなかった。


 竜が力を制御出来ないほど傷を負えば、蓄えられたエネルギーも自然と霧散するという設定だが、残念ながらこの攻撃でもそのHPラインまでは行かない。


「っち、届くか!?」


「カナ!」


「わかってるよ! 【白砂姫の祈り】、【魔狼の鉤爪】!」


 カナはレーザーを受けて態勢が崩れた竜に向かって飛び上がり、その時点で可能な最大打点のスキルを放った。

 目からは光が失われるものの、紅白のオーラを纏った巨大な爪が竜を襲う。


 その攻撃まで受けてようやく竜の様子は……変わらなかった。


 以前、竜が蓄えるエネルギーは周囲を震わせている。


 後数秒で即死必死の大ダメージ攻撃が始まってしまうということだった。


「っ、仕方無い此処はプランBで……」


「まだよ! 【デスサイズ】!」


「ウキナ!?」


 一番砕けた竜の胸の鱗目掛けて、ウキナが一番使い勝手の良い近接の単発攻撃スキルを放つ。


 この行動は予定には無かったものであった。


 本来ここまでの攻撃で駄目なら、残りHPを自傷ダメージで削り切れるまで耐久するという方針だ。


 その際、カナの状態が戻るまでウキナがサポートに入る予定だったのだが、予想よりも砕けていた竜の鱗を見て一か八かウキナは勝負に出たのだった。


 限られた情報で戦略を立てたルユより、今までに培ってきた自身の勘に賭けたとも言える。


 そしてその賭けに……ウキナは勝った。


 攻撃を受けた竜は苦悶の声を上げると蓄えていたエネルギーを霧散させる。


 今のウキナの攻撃によって、丁度第3形態に入るHPとなったのである。

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