第9話 拳魔少女(3) ――激戦の後に
姫奈……ウキナとの戦闘の後、私達はゲーム内のプレイヤーホーム、ウキナの家へと招待された。
PKをしたプレイヤーは町中などのほとんどのセーフティエリアが安全では無くなるらしいが、全く安全地帯が無いわけでは無いらしい。
その1つがプレイヤーの1人1人が持てる家だそうだ。
値がかなり張るため、現状一部のプレイヤーしか持っていないらしいがトップ中のトップであるウキナが買えない訳も無く、私達は彼女の家で本来するはずだった顔合わせやら詳しい話をすることになったのだった。
「それじゃあ皆行くわよ」
「えっと……どうやって行くの?」
「これよ」
そう言ってウキナが取り出したのはスティック状のオシャレな装飾がされた棒切れだった。
彼女が棒の先端を引っ張ると魔法陣が展開される。
「わっ!?」
「転移の魔法陣か……」
「そうそう、何度でも使えるけれど攻撃を喰らえば解除されるから戦闘中は使えないのよね。後、ダンジョンとかの特殊な場所も魔法陣が掻き消されて機能しないわ」
そう言ってウキナが棒を捻り、引っ張っていた部分を元に戻すと転移が起動する。
「ここは……?」
「カナがここまで来るのはまだまだ先の話……でもないか、その成長速度なら案外速くここまで来れるかも」
そこはかなり高い場所の様で、崖にあいた大きな横穴の様だった。
外には見渡す限り森が広がっており、穴の中には大きく全体的に紫っぽい家が建てられている。
「ここは……私達も見たこと無い景色ですね」
「結構綺麗だな」
「ファストタウンから遙か遠い所なのは確かだね……こんな所にプレイヤーが住める場所があったんだ」
「戻るのもさっきのアイテムで簡単にできるから特に心配は要らないわよ。それじゃあ皆上がりなさい、歓迎するわよ」
そう言ってウキナは先に家に入って行ってしまう、それに私達は着いて行った。
それからは先程までの激戦が嘘みたいに平和だった。
ウキナがお茶を出してくれたり、先程の戦闘についての質問や会話をしたりなどの楽しい時間だけで終わったのだ。
話を要約すると、やはりウキナは自身のギルドを作るつもりみたいだけれど、別に完全な敵対をしたい訳でも無いのでライバル兼協力関係の立ち位置で居てくれるらしい。
イベントなどでは全力で敵対してくるが、お互いに不利にならない程度の情報の共有や手伝いはする。
そんな関係を望んでいるとの事だった。
「ギルドとしては、こっちに入ってくれた方が頼もしいけれど……そうだね、私も君には散々イベントで苦渋を飲まされ続けてるし、そっちの方が面白そうだ」
「あら、今日は負けたけれど、次もそうとは限らないわよ? 貴女は私本来の戦闘スタイルも知っているでしょ?」
「うん、これからが楽しみだね死神」
「望む所よ!」
そう言ってその日は解散となった。
――そして数日後
私はウキナによって色んなダンジョンに2人で連れ回されていた。
低難易度から、高難易度まで様々だ。
ファストタウン周辺のダンジョンは軒並み回ったと言っていたはずである。
「楽しいね、カナ!」
そう言って、推奨Lv.70近いダンジョンをクリアしたばかりのウキナはこちらを振り向く。
本当に気分が良いらしく、口調も完全に砕けてしまっている。
「あはは……、ウキナが楽しいならそれで良いかな」
因みに戦闘はウキナが参加すると経験値をほとんど持ってかれてしまう為、私がメインでウキナは周囲のモンスターを遠ざけたり一掃する係となっている。
正直、その攻略速度もハードスケジュールである事が相まって疲れ始めているがしばらくはウキナに付き合うつもりである。
「それに、カナもレベル50になったみたいだし、そろそろ職業決めなきゃね」
「あ、また忘れてた。そろそろ職業考えないと……あれ、でも私のレベルと職業に何か関係があるの?」
そんな話は初耳であった。
「うん、職業は各地にクエストと呼ばれる依頼を出すNPC……の中でも特別な職業毎の石碑からのクエスト報酬で就くことできるのは知っているわよね」
「うん、それは調べたよ」
「その中でも、カナと相性の良さそうな職業クエストの受注条件がレベル50以上だって言われてるんだ!」
「そうなの?」
「それに、レベル50からはレベル1上げるのに必要な経験値が急激に増えるから丁度良いかと思って」
「成程……、それならウキナがオススメのその職業に就いてみようかな……場所教えてくれる?」
「任せて!」
そうして、私はいよいよ職業を得る時が来たのであった。
ようやくのあらすじ回収になります(遅い)。
よって、この後起きる事も目に見えますね……
因みに死神さん、テンションが高いので若干知能が低下中です(フラグ)。




