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第9話 拳魔少女 ――少し遠いようで近い日の記憶

今回のお話は姫奈sideです。

回想になります。

 ――3年前


 カナ……奏に初めて会ったのは中学2年生の頃だった。


 当時の私に友達は居らず、困った事に作る気も無かった。


 理由は簡単だ、趣味や話が合わない。

 この一言に尽きる。


 同じゲーム好きは居なくは無いが、それでもガチガチのアクションゲームが好きで、廃ゲーマーに片足どころか頭まで浸かりかけている私の話に着いてこれる人は、少なくとも私の知る限りではいなかった。


 そうなれば段々と孤立していくわけで、私自身最低限の付き合いしかしなくなった為、誰からも興味は持たれない、そういえば居るよねって人の完成だ。

 男なら趣味が合う人も居ただろうが、ネットの世界ならともかく、現実世界で話し掛けるのはハードルが高いし、よからぬ噂を立てられるのも面倒くさいのでパスした。


 そんなこんなで中学2年に上がった時、奏とは初めて同じクラスになった。


 最初は奏も他の人達と同じ様に、社交辞令を済ませるだけの関係だった。


 私は休み時間には寝ているし、下校時はさっさと帰る。

 奏は対称的で友人達とお喋りして、帰りは部活で忙しそうな人だった。


 私から見た奏はただクラスに可愛い子がいるなーとか考えるだけのそんな感じ。


 そんな私達に転機が訪れたのは中学3年の夏休みが過ぎた頃。


 連続で同じクラスになっていた私達だったが、特に特別関わる様なことも無く過ぎる。

 そう思っていたのだったが、ある日奏が話しかけて来たのだった。


「ねぇ! 宇條さんがゲーム好きって聞いたんだけれど本当!?」


 かなりのハイテンションで話し掛けて来た奏には私も驚いた。


「えっと、そうだけれど……誰に聞いたの黒崎さん?」


「あ、ごめんね。私の部活の後輩に李臥君が居るんだけれど、ゲーム好きなお姉さんが居るって聞いて、私もゲーム好きだから一緒に話したくて」


「ああ、そういうことね……」


 こういう子はたまに居る。


 私も最初はゲームの話をできることが嬉しくて、いつもより沢山話すのだが、大体認識のレベル差が激しくて相手が着いて行けず、結局離れていくのだった。


 奏もそこは違わない、私が話すゲームのほとんども知らなかった。


 ただ、奏が他と最大に違ったのは……。


「あ、そのゲーム知ってる! 設定資料集とかも見たんだけれど、本当に面白いよね!」


 そう、遊ぶゲームジャンルと狭く深くのプレイスタイルだ。


 知っているゲームの数こそ極端に少ないものの、RPGであれば同じゲームを何周も遊んだり、時には設定資料にまで手を出す奏の遊び方は、知っているゲームに限り私の話にも着いてこれていた。


 今思えば、そのプレイスタイルはMakeO.S.でも活かされているのだろう。


 それから持ち前のポジティブさと興味を示すものの多さも噛み合い、ジャンル問わず色んなゲームを勧めてはそれについて話すなどして仲良くなるまでに時間はかからなかった。


 最初はいつも通り仮面を被っていた私も、テンションが上がれば仮面は綺麗に剥がれ落ちていた。


 私の、初めての、趣味が合う友人と話すのはただただ楽しかった。


 同時にもっと仲良くなりたい、一緒に遊びたいとも思った。


 だけれど、奏はそのプレイスタイル故に物凄くマイペースな為、時間と共に状況が変わっていくネトゲは勿論、多人数ゲームすらもほとんど遊ばない。


 そんな奏をようやく誘えたこのMakeO.S.(ゲーム)、色々なハプニングはあったけれど今日はようやく一緒に戦えた(遊べた)のだ。


 本当に、本当に――。


「――楽しかったわ」


 私は森の中で体を起こす。


 デスペナルティは着いていない。


 起き上がってきた私を見て、5人共驚いた顔をしている。


「な……1度消えたはずだろ!? 何でまた復活してるんだよ!?」


「何か透けてるよ……?」


 カナが言う通り、現在私の体は半透明な体になっているはずだ。


「……幽体化か」


「正解、【冥府蘇り】、一日に一回だけ完全回復で復活できるスキルよ」


 私は皆にスキル説明が描かれたパネルを見せるため、公開表示にする。


【冥府蘇り】

 分類:パッシブ


 死亡時に自動発動。

 HP、SP、MPを100%回復、装備の耐久値を50%回復する。

 5分間【幽体】状態になる。

 CT24時間、使用後は12時間、全ステータス50%減、『覚醒』のスキルは使用不可になる。


 ユニーク装備、【死神装束】シリーズに備わっているスキルの1つ。


 自動取得条件

 ――



【幽体】

 状態異常。自他共に一切干渉できない状態。

 物に触れることは可能。



 私は一度も使用したことが無かったこのスキルを使用して、デスペナルティを回避したのだった。

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