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第8話 理不尽の権化:死神(2) ――VS死神

「もう、どうしてあの子はいっつも周りを振り回すかなー!?」


「気持ちはわかるけれど、言っている場合じゃないよ! 死神のあれは本気だ! 一瞬でも油断したらやられるよ!」


 ウキナは手に持つ1本と宙に浮かぶ2本、計3本の大鎌を振り回し、飛ぶ斬撃の嵐を繰り出してきていた。

 スキル自体は以前、ルユが繰り出した【飛斬乱舞】を鎌で放つ同系統スキルなのだが、単純に手数が3倍の為トウカの補助魔法によるバフがあっても対処はギリギリだ。


 カナは自力回避、ルユはクロを庇いながら【飛斬乱舞】で必要な分だけ相殺、トウカとルギは結界魔法と流動体金属の2つの壁で防いでいる。


「クロ、取り敢えずアレを止められる!?」


「一瞬しか持たないぞ!?」


「それで十分、方向を絞らせないように二手に分かれよう!」


「「「「了解です!」」」」


 クロはルユの指示が通ったことを確認するとスキルを放つ。


「【デュアル・サイクロン】!」


 クロが武器の鞭をしならせるとその先端部分、ヨーヨーの様な歯車が2つ外れて風を纏い、2つの竜巻となって斬撃の嵐を弾き飛ばしてゆく。


「そんな攻撃じゃ私には届きもしないわよ!」


 しかし、2つの竜巻はウキナの前まで来ると、彼女が少し大振りに切り裂いただけで掻き消されてしまった。


 クロのスキルもかなり強力なスキルだったのだが、カナ程では無いとはいえ2倍近いレベル差と完全アタッカー寄りなウキナの火力の前では簡単に相殺されてしまう。


 だが、今回スキルを放ったのはダメージを与える目的ではない。


「よし、取り敢えず挟み込めた」


 ルユ達は攻撃の密度が緩くなった間に移動し、ルユとカナ、クロとルギとトウカのペアに分かれてウキナを挟む。


「……成程、たしかに手数を減らさざるを得ないわね」


 これで少なくとも全員纏めて面攻撃を喰らい続ける事態からは抜け出せた。


「でも、まだまだこれからよ。【虚無の魔眼】!」


「……! 何これ……」


 彼女は紫紺の目の方を輝かせると、ルユとカナは急に体から伝わってくる感触、地面を踏みしめる感覚や空気の流れ等その全てが何も感じなくなり、視界は暗闇に閉ざされた。

 体も痺れたように動かしにくい。


 唯一聴覚は無事のようだが……。


「状態異常だよ! ウキナの【虚無の魔眼】は状態異常をランダムに幾つか付与するスキルだから落ち着いて!」


「思っていたよりは効きが悪いわね、でもその状態で避けられるかしら!」


 ウキナは大鎌を構えて、ルユとカナの元へ向かう。


「行かせるか!」


「行かせません!」


「行かせないよ、姉さん!」


「遅い!」


 それを見たクロ達は背を向けたウキナに向かって攻撃を仕掛けるが、鞭の一撃も、魔法での足止めも、流動体金属に込められた魔力による、魔力爆発も全て避けられる。


 感知系スキルを多く持つトッププレイヤーには、ほとんど死角が無い。


 その筆頭であるウキナは、後ろどころか全方向に目があるかの様に動けるのである。


 そうして全ての攻撃を回避したウキナはルユとカナの前に迫る。


「はあっ!」


「……っ! 貴方も大概化け物よね、少なくとも盲目と闇異常はかかっているはずなのに……」


 ルユは大剣でウキナの鎌を弾き返した。


 盲目は文字通り、闇異常は触覚と体幹の消失だ。


 その状態でも、ルユは3つの鎌を順に弾いていった。


「タネは言わないけど、予測可能だよ!」


 全ての鎌の振り降ろしを弾いたルユは真上に飛ぶ。


「カナ!」


「え?」


 急に飛び上がったルユに視線を持ってかれたウキナは、このタイミングでカナの名を叫ぶ理由がわからなかった。


 自身と同じ直感任せの戦闘をするカナには、状態異常がかかった今の状態では何もできないと思っている為、このタイミングでは完全に意識外だ。


 そして、肝心のカナはと言うと……ルユの背後で拳を構えていた。


 ある意味、ウキナの予測は正しい。

 状態異常を治せるヒーラーは反対方向でルユにも回復している暇は無かった。


 だからこそ自身に意識を集中するとルユは読み、ウキナが接近してくる直前までカナに1つの提案をしていたのだった。


『私が位置を誘導するから、合図を出したら只正面に全力の攻撃を放ってね』と。


【白砂姫の祈り】、【白砂姫の記憶】の順に使用したカナは状態異常含む補助効果を全て無効化し、STR,AGI,DEXには全ステータスを2倍にした上でのその合計値が加算される。

 感覚0という実質闇状態の上位互換の状態だが、只目の前に拳を突き出すだけなら問題無い。


「【超巨岩蛇の咬砕】!」


 記憶が紅なら祈りは白の様で紅白のオーラを纏った蛇の頭がウキナを襲う。


 強化されたステータスやスキルによる感覚故だろうか……。


 ウキナはその光景が酷くゆっくりに感じられた。


(これは無理ね。避けられない)


 大きな蛇は地面を抉るエフェクトを発しながら森の奥へと消えていくのだった。

補足説明

カナの【白砂姫】スキルの計算式には装備のパラメータも含める仕様です。

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